色々調べるために次のようにしてインストール
まず、Cosmicは導入しますが、他にもHyprlandも試したかったのでインストール時にGnome、Cosmic、Hyprlandを選んでインストールしました。他は特別追加したことも変更したこともなく、SSDを消去してから入れたという感じです。
Fedoraを使っているとどうしてもいつもの自分の環境から見てモッサリした感じがありました。Gnomeなどにもある反応の遅さみたいなものです。アクションを起こせば即座に反応して欲しいと段々思ってきて、CachyOSのCosmic環境ならどうだろうかと思って試してみたわけです。
横に並べてテストしたわけではないので実際は変わらないとか、あるいはFedoraの環境だけしか知らなければ特別遅いわけではないと思われる方もいるとは思います。しかし自分としては体感でですが、CachyOSの方が機敏さを感じました。これはFedoraとArchの違いかも知れませんし、Arch系はローリングリリースなのでより最新版が導入されていてその分洗練されているとかもあるかもしれません。またCachyOSはカーネルもチューニングされていると言うので、あくまでCachyOSのデフォルトのインストールで試すものの、それらの違いも反映されているのかも知れません。
念の為に デスクトップ環境の選択の仕方
初めてLinuxのディストリビューションを試された方はデスクトップ環境をどのようにして選ぶかを迷う可能性があるのでここに書いておきます。
- ログイン画面(パスワードを入力する画面)の右下にギアのアイコンがあるかと思うので、そこでデスクトップ環境を選択します
- 起動したばかりでは、この前にも同じようなアカウント選択画面がありますが、ログイン選択画面であることに注意して下さい
準備を始めていく
AURを利用するのでyayを入れる
Arch系のディストリビューションなので必要なものは後からパッケージマネージャであるpacmanとyayで入れますが、CachyOSはyayが入っていませんでした。そのため、
sudo pacman -S yayとして導入。sudo pacman -Syuでシステムを最新にしようとすると、CachyOSではもう最新の状態でした。何もしなければ起動時にCachyOS Helloと言う画面が立ち上がり、その中に、Rank mirrorsが見えたのでこれだけ実行して、終わればウィンドウを閉じます。最速のサーバーをランキングして各パッケージなどを素早くダウンロードするためです。
AURは、Arch User Repositoryの頭文字を取ったもので、コミュニティによって運営されている、Arch ユーザーのためのリポジトリです。PacmanがArch Linuxの主要な機能としてのパッケージマネージャであり、公式とコミュニティのパッケージ(ソフトウェア)の違いと考えれば間違ってはいないと思います。
この記事の最後の方にCachyOSのアップデート他について書いておきますのでそれらで便利にターミナルを使用して下さい
気がついたのはCachyOSのCosmic環境ではワークスペースはデフォルトで縦移動(バーティカル)でした。Fedoraでは横だったので仕様が色々と違うようです。また各項目もfedoraでは英語のままでしたが、CachyOSでは日本語化されていました。

画像のように、ワークスペースが縦だとこのように表示されます。これはSuper + Wでワークスペース一覧を開いた時の様子です。WindowsでいうWin + TABあるいはALT + TABのような機能です。
Windowsではウィンドウがスタッキングしていく(重なっていく)ため、ワークスペースを使用するのは別でディスプレイを繋げた時ぐらいかも知れませんが、タイル型(タイリング)ウィンドウマネージャーではたくさんのワークスペースを利用したりします。タイル型でないGnomeなどでも三本指スクロールで切り替えられたり簡単に使えるので使う人もいるでしょうが、Cosmicはスタッキング・タイリングのいずれもが使えるので、デフォルトをタイル型に設定してもしなくてもこれらはよく使うだろうと思います。
操作はFedora版のCosmicと同じですが、Super + [NUM:数字]でそのワークスペースに移動でき、現在アクティブなウィンドウは確か、Super + Ctrl + Shift + 矢印で移動、Super + Shift + [NUM:数字]で移動もできます。ワークスペースの選択はSuper + [NUM:数字]です。
これらはSettingsの入力デバイス → キーボード → キーボードショートカットの中に各種一覧があります。
特に何も気にせず書いてましたが、SuperキーはWindowsキーです。Linuxのディストリビューションは、WindowsだけではなくMacにもインストールすることができます。その際には、x86-64かARMかを注意してインストールする必要があります。最も異なるのはMacとWindowsのキー配列です。
Macの場合のSuperキーは⌘ Commandキーに当たります。Windowsキーは存在しませんから、いずれもに使えるようにSuperキーとLinuxでは呼びます。
これらの操作はすぐに全部は覚えられないかも知れませんし、それを面倒くさく感じるかも知れませんが、とても簡単なので使っている内に覚えてしまうだろうとも思います。
あと、覚えておくとよいのは、
Super + TでターミナルSuper + FでファイルマネージャSuper + BでブラウザSuper + Qでウィンドウを閉じるSuper + Aで各種アプリの一覧表示
ぐらいでしょうか。Superキーだけを押すとアプリなどのインクリメンタルサーチができます。一部の文字を入れるとそれに該当するアプリが絞り込まれていくアレです。
上記の操作では当然、何もインストール・設定していないとCosmicのデフォルトのものとFirefoxが起動します。任意のものを導入してCosmic SettigsからApplications → Default Applicationsを設定するとそれらが機能するようになります。
このデフォルトアプリケーションは、多くは正しいアプリの名称が表示されますが、一部アプリの説明がアプリ名になっていることもあります。表示がそうなだけで機能的には問題ないので、一時的な問題だと諦めるかランチャー名などを正しく修正すればそれらも正しく機能するだろうと思います。
ついでにPC・スマホ間でファイルを移動できるようにLocalSendを入れる
Windowsにあるファイルを移動させるのに、あるいはその逆でも使用するlocalSendもインストールしました。ファイルを移動させる端末それぞれにアプリが入っている必要があります。クロスプラットフォームのアプリなのでだいたいの端末に対応しています。Windows、Mac、Android、Linux版とそれぞれあって、Linuxは一部提供されていないディストリビューションの系統もありますが、Flatpakで使用できます。
Arch系だと、
yay -S localsend-binだけで入れられるのでとても楽です。
Fedoraではインストールしたその後で、接続する際にFirewallが通信を止めていたので、
sudo firewall-cmd --zone=public --add-port=53317/tcp --permanent
sudo firewall-cmd --zone=public --add-port=53317/udp --permanent
sudo firewall-cmd --reloadこのようにして、Firewallのポートを解放する必要がありましたが、CachyOSではこれらは不要だった所を見るとFirewallが導入・設定されていないようです。そう思っていましたがその後、localSendを使用してファイルを受けようとすると、Windowsからファイルを送信できませんでした。最初はCosmic側からは送信はできたのでFirewallが設定されていないと勝手に思っていたわけです。
しかし例に漏れずポートを解放する必要がありそうです。これの最も簡単な方法はgufwを導入することかと。しかしCosmic環境からは現在、gufwを起動できないので、CLI版であるufw - Uncomplicated Firewallを参考に設定するか、別でGnome環境などがあればそこでgufwを起動させて設定するのが最も簡単かと。
gufwをインストールしてもufwは使用できます。GUI部分はまさにその意味の通りグラフィカルに設定できると言うだけの役目で本体はufwになっています。よって、GUIが動作しなくても、ufwをターミナルで設定すれば良いということになりますし、別のデスクトップ環境も入れている場合は一旦ログアウトしてそちらで設定してもシステム上で動作するソフトなのでCosmic環境でも設定が反映されています
(gufwでもufwいずれでも)設定した内容が動作しているかは、
sudo ufw statusとターミナルから入れると、動作していればStatus: activeとなっているはずです。設定がどうであれ、動作しているかどうかの確認はこれでできます。
localSendの場合は、53317ポートを利用するので、UDP/TCPの両方を設定します。もちろんこれらは任意のポートに設定できます。ソフト側でポートを設定して、それらを別のlocalSendでも設定し、それらに合わせてFirewallの設定をするという感じです。
Cosmicの設定など

Fedoraでもできたと思いますが、日本語になっているCachyOSではよりわかりやすく設定が見れます。デスクトップ > ウィンドウマネジメント で、ここは一部英語のままですが、Focus follow cursorをonにしておくと、ウィンドウにカーソルが移動しただけでアクティブになります。
ウインドウをクリック/タップしてアクティブにさせるのではなく、そのウィンドウの上に移動させるだけでアクティブになりますから、何かしら入力しているテキストの続きを再度入力位置にカーソルを当てずとも、別のウィンドウでブラウザを開いていてその内容をコピーした時に、楽にペーストできるので便利です。
アクティブになったウィンドウは画像のように枠線が表示されます。
個人的に導入したもの
- ターミナル:Ghostty 公式サイト Github
- ターミナルプロンプト:Starship 公式サイト Github
- プロンプトのサンプル:How are folks using starship? Share your setup! など
- アプリケーション
- アイコンテーマ:kora
- フォント:
- suns-serif:BIZ UDPゴシック
- serif:BIZ UDP明朝
- monospace:Bizin Gothic NF
フォントの導入・設定方法
フォントは~/.local/share/fonts((おそらく無いのでディレクトリを作成))に必要なフォントを入れて、必要な設定で指定しても良いですが、~/.config/fontconfig/にfonts.confを作り、フォント設定と、そのサンプルを参考に必要なフォントを設定していってください。
フォントの名称がわからない場合は、gnome-font-viewerを一時的にでも導入して確認するとよいかと思います。
アイコンの導入・設定方法
アイコンは、GNOME-LOOK.ORGからKoraと言うのを使っています。ダウンロードして解凍して導入していっても行けると思いますが、最も簡単な方法は、ocs-urlというのを導入すると、各アイコンのinstallから自動で導入できるようになります。
導入方法がディストロによって異なりますが、fileタブの中の一番上にArch系のものがあるので、ダウンロードしておきます。AURにもありますが古いので手動で入れます((圧縮タイプが異なっていたり、必要な依存関係、つまりはライブラリが古い可能性があるので))。必要なパッケージは、
sudo pacman -S qt5-base qt5-svg qt5-declarative qt5-quickcontrolsで入れておきます。もし入っていた場合はスキップされますので確認のために上記を実行して下さい。
その後、ダウンロードしておいた本体を導入します。
sudo pacman -U ~/ダウンロード/ocs-url-3.1.0-1-x86_64.pkg.tar.xzでしょうか。ダウンロードはダウンロードした本体があるディレクトリで通常は~/Downloadですが、日本語にデフォルトでローカライズされているため~/ダウンロードがそれに当たり、その後は本体のファイル名+圧縮の拡張子です。これらが違っていたらディレクトリ・ファイル名を修正してインストールします。
たいていはバージョンが違うとか圧縮タイプが違うとかそう言う違いがあるかもしれないというだけなのでよくダウンロードしたファイルを確認して、ファイル名をF2などから拡張子含めてコピペ((Ctrl + Cでコピーして、ターミナルはCtrl + Shift + Vでペースト))したら良いと思います。
これら準備ができたら、各アイコンのファイルタブにあるArchLinux用のinstallを押せば自動でインストールされ、Cosmic Settingsのデスクトップ → 外観の一番下にある、試験的な設定の中に、Icons and toolkit themingをクリックするとその中に今入れたアイコンが表示されているはずなので、それを選択するだけです。
音楽の仕様は、PipeWire
Gnomeなどと同じようにPipeWireが採用されています。Rustで開発されたと言ってもいわゆる既存のというか、定番のあるいは一般的なLinuxのサウンド管理となっていて、使おうとしているソフトがPipeWireで動作するものであればどれも使えるだろうと思います。Cosmicが、Waylandで動作してるという点にはやや注意しておくべきかと思います。
基本的には、イコライザーやオーディオエフェクトの利用に関する設定は、OSのデスクトップ環境(HyprlandやCOSMIC)ではなく、オーディオサーバーであるPipeWireのレイヤーで処理されます。実際に導入して試したわけではないですが、これら理由から、以前当ブログで紹介したEasyEffectでイコライザーを導入して音質を変えて自分の気持ち良い音を作ることもできるという感じです。
Cosmicとつく基本ソフトを使わない
Cosmic Settingは別として、ファイルマネージャー(COSMIC Files)、テキストエディター(COSMIC Edit)は極力使わないのが良いかと思います。ファイルマネージャは使い勝手がいまいちですし、テキストエディターは日本語が表示はできても入力ができません。これらは今後のアップデートで修正されると思いますが、入力できないものは使う意味が薄いので。
COSMIC Storeは無効になっているでしょうし、これはその内にpamacのような感じで使用できるようになるかも知れません。
pamacはManjaroなどで使われているGUI版のパッケージマネージャです。アプリストアとも言えます。ソフト魔殆どが無料で使用できるので、ストアと言うと有料な感じがしますがそんなことはありません。他のArch系でも利用はできます。
画面下のドックには、Cosmic Settingがあります。この中の項目のApplicationsから、デフォルトのソフトを選択することができます。
ファイルマネージャーであれば、同じWaylandで動作しているGnomeのファイル(Nautilus)や、KDEのDolphin、あるいはWayland対応のものではないかと思いますが、XfceのThunarなど使い勝手の良いもので良いかと思います。
テキストエディターは、GnomeのText Editorでも良いですし、Geditでも、KDEのKateなど何でも良いです。使い勝手の良い、シンプルかつ高速な起動ができるものが良いかと思います。
デフォルトのアプリケーションを設定したとしても、何かしらのソフトでファイルを選択する場合にCosmic Fileが起動してしまいます。色々試してみましたが、何かで設定されていてCosmic Fileが選択されているのだと思います。それがどこで設定されているのかがわからず、これは今しばらくペンディングで。
これらをインストールして起動するとドックの元々の登録アプリの横に表示されるので、右クリックから「トレーにピン留めする」を選ぶと登録できます。逆にピンを外せばドックから外せます。マウス操作でもできます。
正しくインストールしたがランチャーに表示できない
デスクトップ環境が他にも入っていて、例えばそれがGnomeなどであった場合にGnome環境ならインストールしたソフトがランチャーの一覧に表示されるのに、Cosmic環境では表示されないと言う場合にどうしたら良いかの話です。
今現在も更新されていて、特別古臭いUIでもないような場合でならそれはsome-AppName.desktopのいわゆるランチャー名がいい感じに書かれていないというのをまず疑ってみて下さい。特にAURでのインストールなどでは。それでも名前が問題でも大抵は表示されるのですが、そうでない場合もあるということです。
pacmanやyayを通じてインストールされるもの、特に後者は一旦ユーザー環境でビルドされて導入自体はpacmanでシステム全体に適用されます。それらの本体の登録自体はまた別で入っているでしょうけれども、ファイルの情報は/usr/share/applications/に***.desktopファイルとして登録されます。
これはシステム全体で使うものになりますが、たいていは一人で使用するので、/usr/share/applications/にある該当のファイルを~/.local/share/applications/にコピペしてその情報を正すというのを試みます。
もしシステム全体で使用するとなってもまずはユーザー環境で変更してみてどうなるかを確かめてから、システム全体で変更するべきです。
さて、ファイルマネージャーにThunarを入れているのでそれで説明しますが、多分他のものでも同じような感じかと思います。
~/.local/share/applications/の該当ソフトの.desktopファイルをF2などでリネームします- その際に、ランチャー名かファイル名のどちらを変更するかを問われます
- ランチャー名を変更するとして進めると、ファイル名とはまた違う名称が出てくるかと思います
アカウント/github.com/ファイル名.desktopのようなものをファイル名.desktopのようなわかりやすいものに変更します
- これでキャッシュなどが更新されたらランチャーに該当ソフトが表示されることがあります
右クリックから
ランチャー名の変更などでも同じ事ができます
なぜGnomeなどではそのままで表示できるのに、Cosmic環境では無理だったのかは、Gnomeがそれだけ多くの修正などを重ねていろんなパターンのランチャー名からでも正しく表示できるような仕組みを持っているからでしょう。それだけCosmicが新しく、それらに対応できていない段階であると言うだけのことで、もしフィードバックなどがありいつか修正されたらそれらはこれらのように手を入れなくても表示されるようになると思います。
これ以外で、ソフトの仕組みが古すぎるなどで、現行のLinuxの環境に対応していない場合はそもそも登録できません。しかしTerminalから起動できるのであれば、可能性はあります。ただ、そんな古臭いソフトを使用せずとも新しい代替のものがあるかと思うので、そちらを使うことを勧めます。
CachyOSのHyprlandエディションと比較して
CachyOSのHyprlandは基本的なことを設定されていますが、便利に使えるようになっているわけではありません。例えば、ウィンドウの移動であったり、ワークスペースの移動などはあってもアプリケーションを起動できなかったりで、これらはおそらく自分で一番良いように設定していってねということなのでしょうが、これらの設定は英語が不得意な日本人からすると色々と障害がありすぎます。
Hyprland Wikiの意図を正しく汲み取れないかも知れませんし、誰かが設定した内容をどこかで公開していたとしてもその意味がわからないと言うこともあるだろうと。
通常は、bind = SUPER, E, exec, ~で良いはずですが、bindd = ...と書いてあったりで、その違いは何かというのに到達するだけでだいぶ時間がかかることもあるでしょう。これはexecなどのdispatcherの前に簡単な説明(description)を入れることができると言うだけの事ですが、binddのdフラグって何だとなった時、それを調べるのに時間がかかりすぎるのです。
ひとまずサックリと設定だけしてみる
便利に使えるわけではありませんが、まず設定として、~/.config/hypr/hyprland.confの一番下の行にある、
# source = ~/.config/hypr/config/user-config.confの#を取り除いて、~/.config/hypr/config/ディレクトリの中に、user-config.confを作ります。ターミナルからでも良いですが、面倒な場合はファイルマネージャーで右クリックして空のドキュメント(テキスト)ファイルを作り、user-config.confに名前を変更します。user-config.confには、次のような感じに書きます。
$mainMod = SUPER
$filemanager = thunar
$terminal = alacritty
$browser = firefox
input {
kb_layout = jp
}
# env = QT_IM_MODULE, wayland # これはなくても動くかも
unbind = $mainMod, E
bind = $mainMod, E, exec, $filemanager
unbind = $mainMod, T
bind = $mainMod, T, exec, $terminal
unbind = $mainMod, R
bind = $mainMod, R, exec, $browserkb_layout = jpのアンダースコア(アンダーバー:_)を入力するまでが大変です。これが設定できないとキーボードが英語のキー配列だからです。0の横のマイナスがそれじゃなかったかなと思います。
ちなみに、導入されているソフトの一覧を表示するランチャーはSuper + スペースで表示されるのでインクリメンタルサーチができます。
ここまでを見てもらってわかるように、本当に基本部分だけが提供されていて、そこから先の便利さを追求する部分はほぼ皆無です。btopで見るとusedメモリが1.21GBだったので軽量なのは間違いないですが、機能が足りないとかと諸々で軽量なだけかとも思います。
これまでいくつかの記事で書いてきたillogical-impulseのHyprland環境はCachyOSの素の状態から見るとだいぶ完成されていて、それでいて軽量なため最もオススメですが、導入やら設定がややこしいのに間違いはなく、それでもだいぶ簡単になっているのですが、すぐに始められるかは疑問です。
最初にEndeavourOS+Gnomeの環境を作ってから、スクリプトを適用する必要もあり、更に日本語に対応させないといけません。慣れたらすぐのことでもいきなりこれは色々と敷居が高い気がします。
その点、CachyOSのCosmicデスクトップ環境はインストール時に選ぶだけで導入できて、日本語環境と少しだけカスタマイズできたらすぐに使えて、アップデートなども簡単で、かつArch wikiという最大最良のマニュアルがあるので大抵のことは対応できます。
またFedoraに比べて機敏に動作しているようにも見えました。ローリングリリースでFedoraよりも色々と改良されたものが適用されているのかも知れません。少なくとも日本語表示にある程度なっている部分はかなり使い勝手が良いかと。
CachyOSのアップデート他について
これはデフォルトでシェルの環境がBashであるかFishであるかで変わります。記事の冒頭に書いたようにGnomeの他にHyprlandも一緒に入れたため、Cosmic環境がデフォルトでFishなのか、Hyprland環境がそうなのかは未確認です。
もしFish環境がデフォルトであれば、~/.config/fishにある、/config.fishをテキストエディターで開くと、最初にsource /usr/share/cachyos-fish-config/cachyos-config.fishと書いてあると思います。ここにCachyOSのFishシェルの初期設定が諸々書いてあります。
自分の環境では、Cosmicデフォルトでbatが既に入っていたので、Super + Tでターミナルを開き、先程のFishのコンフィグの初期設定のアドレス/usr/share/cachyos-fish-config/cachyos-config.fishを、ターミナルから、
bat /usr/share/cachyos-fish-config/cachyos-config.fishとして起動すれば、シンタックスハイライトされた状態でかつスクロールができる表示でターミナルに該当のファイルが開いたと思います。batはcatの新しい代替コマンドです。開いた初期設定はシステム側に書いてあるので、編集もしたいならnanoあるいはmicro、もしくはgedit、もちろんGnomeのテキストエディターでもなんでも開けますが管理者権限が必要です。
nanoやmicroはターミナル上で操作するエディターなので、
sudo nano /usr/share/cachyos-fish-config/cachyos-config.fishのようにすれば良いです。保存はCtrl + Oで上書き、Ctrl + Xで終了できます。しかしシステム側のファイルの改変はできるだけしないようにして、ユーザーディレクトリ内で修正するのが良いです。修正できないものはオリジナルをコメントアウト(#)するとかのみに留めるべきです。
尚、batコマンドの終了はQキーでターミナル画面に戻ります。
microはnanoなどよりもモダンなCLIのテキストエディターです。nanoはやや特殊な操作をしますが、microはWindowsと主要なキーバインドは同じではなかろうかと。
例えば、Ctrl + Cでコピー、Ctrl + Vでペースト、Ctrl + Sで保存などです。Alt + Sがセーブ後終了なのですが、Windowsもこうだったかは未確認です。上記キーバインドのリンクで確認してみて下さい。
もし入っていない場合、Arch系のインストールはsudo pacman -S microでできます。
さてここで、先程のCachyOSのFishの初期設定で、しばらくスクロールさせると、aliasと書いてある塊が見えてくると思います。これらがターミナルから直接使えるコマンドになっています。
これらを用いるとより簡単にコマンド入力ができます。もちろんfishは入力補完があるので、別段長いコマンドでもすぐに入力ができますが、より短ければより速くかつ間違えないというのもあり便利だということです。
本来のシステムのアップデートは、sudo pacman -Syuですが、エイリアスが設定されているので、
update
だけで同じ事になります。CachyOS Helloと言うデスクトップが起動したら最初に表示されていたアプリからも、ボタン一つでアップデートできるようになっていますし、あまりターミナルで操作することもないですがどうせCachyOS Helloを開くのであればターミナルで入力した方が速いです。
CachyOS Fish、Alias一覧

これらは、ターミナルでエイリアスを入力するとコマンドの内容で動作します。そのエイリアスがどういう動作をするのかというのを表に書き出してその意味も追加しました。もっと詳細に各種スイッチやオプションがどういう役目をしているのかはそれぞれのmanページで確認するか、Arch wikiなどで調べてみて下さい。
便利なエイリアス リスト表示
| エイリアス | コマンド | 意味 |
|---|---|---|
ls | eza -al --color=always --group-directories-first --icons | ファイル・ディレクトリの表示 |
la | eza -a --color=always --group-directories-first --icons | すべてのファイルとディレクトリの表示 |
ll | eza -l --color=always --group-directories-first --icons | ファイル・ディレクトリの詳細表示 |
lt | eza -aT --color=always --group-directories-first --icons | ツリー形式での一覧表示 |
l. | eza -a | grep -e '^\.' | ドットファイル (隠しファイル) のみ表示 |
一般的な使用
| エイリアス | コマンド | 意味 |
|---|---|---|
grubup | sudo grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg | GRUB設定の更新 |
fixpacman | sudo rm /var/lib/pacman/db.lck | Pacmanロックファイルの削除 |
tarnow | tar -acf | ファイルの圧縮 |
untar | tar -zxvf | ファイルの解凍 |
wget | wget -c | ダウンロードの再開 |
psmem | ps auxf | sort -nr -k 4 | メモリ使用量の多いプロセス順に表示 |
psmem10 | ps auxf | sort -nr -k 4 | head -10 | メモリ使用量の多いプロセスのトップ10をリスト表示 |
.. | cd .. | 一つ上のディレクトリへ移動 |
... | cd ../.. | 二つ上のディレクトリへ移動 |
.... | cd ../../.. | 三つ上のディレクトリへ移動 |
..... | cd ../../../.. | 四つ上のディレクトリへ移動 |
...... | cd ../../../../.. | 五つ上のディレクトリへ移動 |
dir | dir --color=auto | ディレクトリ内容の色付き表示 |
vdir | vdir --color=auto | ディレクトリ内容の色付き詳細表示 |
grep | grep --color=auto | 検索結果の色付き表示 |
fgrep | fgrep --color=auto | 検索結果の色付き表示 |
egrep | egrep --color=auto | 検索結果の色付き表示 |
hw | hwinfo --short | 簡潔なハードウェア情報表示 |
big | expac -H M '%m/t%n' | sort -h | nl | インストール済みパッケージの容量順リスト |
gitpkg | pacman -Q | grep -i "\-git" | wc -l | 「-git」を含むパッケージの数をカウント |
update | sudo pacman -Syu | システムのアップデート |
最速のミラーを入手
| エイリアス | コマンド | 意味 |
|---|---|---|
mirror | sudo cachyos-rate-mirror | 最速のミラーリストの取得と設定 |
Arch初心者を助ける
別のディストリビューションからArch系を触るようになった人が思わず入力してしまいがちなコマンドを使用した時にそれらを助けるものです。
| エイリアス | コマンド | 意味 |
|---|---|---|
apt | man pacman | Pacmanの「man」ページを表示 |
apt-get | man pacman | Pacmanの「man」ページを表示 |
please | sudo | 管理者権限でのコマンド実行 |
tb | nc termbin.com 9999 | ターミナルから一時的なテキスト共有 |
孤立したパッケージをクリーンアップ・エラーメッセージ取得・最近インストールされたパッケージ
| エイリアス | コマンド | 意味 |
|---|---|---|
cleanup | sudo pacman -Rns (pacman -Qtdq) | 孤立パッケージのクリーンアップ |
jctl | journalctl -p 3 -xb | 不要になった孤立パッケージの削除 |
rip | expac --timefmt='%Y-%m-%d %T' '%l\t%n %v' | sort | tail -200 | nl | 最近インストールされたパッケージ200件のリスト |
まとめ
FedoraとCachyOSのCosmic環境を触ってみて、これは常用できるデスクトップ環境だと思いました。Linuxを触ることが全くの初めての人にはどう感じるかはわかりませんが、Windowsよりは先進的なデスクトップ環境だと思ってもらえると思います。
ただ、そこに至るまでの設定が、私はArch系を触っていたのである程度それらの経験からこうすれば良いのではなかろうかと想像できますが、それらがなかった場合はどうだろうかと思ったりもします。
まだ完成されたバージョンとして提供はされていないので、入っているソフトや仕様が他の古くからある安定したデスクトップ環境からすると足りないと思う部分もあります。しかし、β版でここまで完成しているのであれば更に良くなるわけですからこれは十分にGnomeなどと匹敵、あるいはそれらを刷新してしまうぐらいのポテンシャルはあるであろうと思うわけです。
無料で試せると言う点はとてもお手軽なので、安いSSDやストレージを購入したり、余っているものがあれば是非試してみてほしいなぁと思います。
記事の途中でLocalSendなどを紹介しているので、それらも有効活用してもらってPCを複数台用意できれば更にこれまでより便利な環境が構築できると思います。Hyprlandなどに比べるとやや要求スペックも高いですが、それでもWindows11が動作するPCの1/4ぐらいの性能があれば動きます。
具体的には、4GB以上のRAM、2コア以上のCPUで動作するんじゃなかろうかと。できれば4世代以降ぐらいのIntel CPUぐらいが良いでしょうか。
自分のノートPCはThinkpad T470sですが、これは確か7世代ぐらいのIntel CPUを積んだノートPCです。これでも何ら問題なくむしろ快適に使用できますから、6世代はもちろん古いPCでも快適に使えると思います。これぐらいのPCかあるいは古いPCにSATA SSDを入れたりなどSSD環境があれば尚良しです。
HDDでもいうほど遅いとまでは行かないようにも思います。起動は遅いと思いますが。
CachyOSはピーキーな性能のOSと言われることもありますが、デフォルトでの導入であれば普通のArch系のディストリビューションよりやや尖ってるぐらいなので普通に使えると思います。もしここでZenカーネルとか、ゲーム寄りに持っていきたいと感じるなら、それは最新のPC、できればデスクトップの方が良いですが、目的がそこでないならもっとフレンドリーに使用できるはずです。
これまでは、デスクトップ環境がGnomeだのKDE PlasmaだのXfceだのとある意味同じようなタイプで見た目が違うという感じのものが多かったですが、Cosmicデスクトップ環境はそれらから脱却するパイオニアになりそうなそういう雰囲気すら感じます。