Webブラウザってどれがいいの?
Webブラウザってどれがいいの?とインターネッツではよく聞きます。どれでも好きなのを使えばいいじゃないかというのが私見ですが、どれが良いのかだけではそれぞれに一長一短があり選べません。

Heliumとは?
プライバシーを最優先にしたオープンソースのWebブラウザで、Chromiumをベースに、Googleのトラッキングやテレメトリーを完全に排除したungoogled-chromiumを基礎として構築されており、デフォルトで強力なプライバシー保護を提供します。
テレメトリーとは
遠隔地や手の届かない場所にある測定器(センサー)から、有線・無線などの通信を用いて、データを自動的に収集・送信する仕組みや技術のことです。例えば使用情報(検索語句から興味のあるものを調べたり、使用機器の情報、OSや使用メモリ等)を送信するというのもそうだろうと思います
主な特徴として
- 広告・トラッカーブロック → uBlock Originをネイティブに統合し、広告、トラッカー、フィッシングサイト、第三者Cookieをデフォルトでブロック(例外なしの公平なフィルタリング)。
- プライバシー強化 → ブラウザ自体に広告やアナリティクスがなく、初回起動時を含め不要なWebリクエストを一切行いません。フィンガープリンティング対策も強化。
- 軽量で高速 → 不要な機能を徹底的に排除し、メモリ使用量が少なく、長時間使用しても遅くなりにくい。バッテリー消費も抑えられています。
- ミニマリストUI → コンパクトで美しいインターフェース。ツールバーを自由にカスタマイズ可能で、画面を最大限に活用できます。
- 追加機能 → スプリットビュー(画面分割)、DuckDuckGo風の!bangs(アドレスバーから直接サイト検索)、Chrome拡張のフルサポート(Manifest V2も長く対応)。
- Chrome Web Storeの匿名化 → 拡張インストール時のリクエストをプロキシ経由で匿名化し、Googleにトラッキングされない。


※ 左(上)側はスプリットビュー、右(下)側が!bangsです
Braveと比較されることが多く、「Braveが目指した理想形」「Braveよりシンプルでブロートがない」と評価されています。Chromeの拡張やサイト互換性を保ちつつ、Googleの影響を最小限に抑えたい人に特におすすめです。
対応プラットフォーム:macOS、Windows、Linux
広告ブロックとCookieのブロック
Heliumはデフォルトですべての第三者Cookie(third-party cookies)をブロックしており、広告・トラッカーもuBlock Originがネイティブ統合されているため強力にブロックされます。これにより、多くのサイトでCookie関連のエラーが発生する可能性がありますが、ブラウズに必要なサイトごとにオン/オフ(例外設定)することは可能です。
Heliumはフル機能のuBlock Origin(Manifest V2版) をブラウザのコンポーネントとしてビルド時に組み込み、ネイティブコンポーネントのように動作させています(パッチで拡張APIを強化)。
懸念点としてはManifest V2依存のため、将来的にChromiumが完全にV2を廃止したら維持が難しくなる可能性あり(開発者は「可能な限りサポート」と表明)。
BraveはuBlock Originを直接使っているわけではなく、uBlock Originのフィルターリストや仕組みを強く参考にした独自のShieldsをブラウザのコアレベルでネイティブ実装しています。拡張機能とブラウザのコンポーネントとして動作するのとでは全然違います。
カスタマイズについて
私の場合、フォントをいつも使ってるものに変えて、拡張機能もDark Reader、Stylusを入れたぐらいで他に何も設定しなくてもそのままで使える印象です。しかしいくつかカスタマイズしても良い場合もあるのでそれらを紹介します。
必須級のflags(実験的機能)設定
アドレスバーにhelium://flags/と入力してアクセスし、helium-cat-uiを検索し、Enabledにします。すると元よりももっと超コンパクトなUIモード(CAT layout)になります。
アドレスバーにhelium://settings/performanceでアクセス。設定のメモリーセイバーをMaximum memory savingsに設定。RAM使用量がさらに減り、長時間タブを開きっぱなしでも軽快に。
オススメの拡張機能
Heliumはブロートゼロなので、必要に応じて追加が鉄則。
ブロートゼロとは
ブロートは膨張と言う意味で、ブロートゼロ、あるいはゼロブロートで膨張がない、肥大化していない、お腹が張っている状態ではない、つまり無駄なものがない、不要な機能がないと言う意味になります
パスワードマネージャは入れておくとよいかと思います。Bitwarden、1Password、Proton Pass(ブラウザ内保存はデフォルトオフなので必須)。1Passwordを使う場合、アプリ側設定で「Heliumを許可ブラウザに手動追加」(macOS/Linux推奨)。
ダークモードにするための拡張機能も良いかと思います。Dark Readerとか他にも色々あります。
Youtubeをよく見るのであれば、広告削除をONにすると対策されているので動画が再生されないかも知れませんがそれ以外の不要な見た目や機能を非表示にしたりするのに便利なUnTrapはとても便利です。
あと入れるとしたらWebサイトを自身の簡単なcssで改造できるStylusやマウスジェスチャーでcrxMouse ChromeやCircle Mouse Gesturesも良いかと思います。
Windowsでのアップデートについて
自動アップデート、またその通知はまだ実装されていないので、頃合いを見てアップデートする必要がありますが特に難しいことはなく、インストーラーをダウンロードして実行するだけです。
この時、インストーラーが動作するわけですが、別途ウィンドウが開いて何かしらをインストールする素振りもなくアップデートされるので、アップデートする前に以下のバージョン情報で確認して覚えておき、アップデート後、現在のバージョンになっているかを確認して下さい。
画面右上にある⋮メニューのAbout Heliumを見ると、helium://settings/helpが起動して、バージョン情報などが見れます。
#skip-copy
Version 0.8.5.1 (公式ビルド, Chromium 144.0.7559.132) (64 ビット)
というのがウチのHeliumのバージョンですが、最初のバージョンがHelium自体のバージョンで公式ビルドがベースになっているChromiumのバージョンです。
Heliumはまだベータ版扱いなので、Webサイトを見る事についてはほとんどが機能していますが、自動アップデートはまだ機能していません。これは逆に、今トラブル無く動いてるからアップデートしなくても良いとユーザーの手間を省いてるとも取れますが、ブラウザ自体の機能面((新しいjs、cssのサポート、不具合の修正、新機能の追加))ではその通りなものの、セキュリティ・脆弱性の修正などについてはなるべく最新にしておきたい所です。
Linuxでインストール・実行するには
Windows、MacOSは公式サイトからダウンロードする場合、自動でプラットフォームが選ばれて、x86・arm版を選択してダウンロードする感じですが、LinuxはAppImageになっています。これがどういうものか知らないとLinuxで使え無いと思うのでその方法を書いておきます。
LinuxでAppImageのアプリを使う時は特別なソフト・インストール不要で、依存関係をすべて内包しているため、基本的な使い方はどのディストリビューションでもほぼ同じです。
あるいはターミナルから、
chmod +x ファイル名.AppImage
として実行権限を与えます。古いディストリビューションや例えばUbuntu 22.04以降でFUSEが不足する場合、
sudo apt install libfuse2
などとしてライブラリを追加する必要があることがあります。現行の通常ディストリビューションでは権限を与えるだけで何もすることはありません。
しかし、これだけではランチャーの登録ができなかったりするので、AppImageLauncherを導入するのをよく言われますが、自分の環境(CachyOS + Hyprland)では導入するとAppImageが起動しなくなると言う事が起こりました。削除したら起動できるのでAppImageLauncherが原因なのは間違いないですが、ディストリビューションによっては動くんでしょう。
普通に起動できたらそのままランチャーに登録できるとも思います。しかし、AppImageが増えてきて、色んなディレクトリに置いたりすると管理が大変になりますのでGear Leverを利用すると一層便利になります。
Gear Leverとは
Gear LeverとはLinuxでAppImageファイルを簡単に管理するための無料・オープンソースのGUIツールです。
- AppImageファイルをドラッグ&ドロップするだけで、自動的に
.desktopファイルを作成し、アプリケーションランチャー(メニュー)に登録。アイコンやメタデータも抽出してきれいに表示 - すべてのAppImageを指定のフォルダ(デフォルト:
~/Applicationsなど)にまとめて管理。移動またはコピー選択可能 - AppImageの更新を確認・適用(GitHubリリースなどに対応)。古いバージョンを残すことも可能。カスタム更新URLを設定
- AppImage本体、
.desktopファイル、アイコンを一括で削除ができる
というような特徴があります。
2026/2/15にWindowsでのアップデートの件を書いたので追記で
上記リストの3つめ、AppImageの更新を確認・適用とあるように、ソフトによりけりですが自動検知がアプリに搭載している場合、Gear Leverが自動で新しいバージョンを検知し、ボタンひとつで更新(置き換え)が可能です。自動検知が搭載されていないアプリでもGitHubのリポジトリURLや静的なダウンロードリンクを登録することで、Gear Lever経由で最新版を確認・取得できるようになります。 アップデート時に、古いバージョンを上書きして消すか、そのまま残して新しいバージョンと並存させるかを選べるのが便利なところですね。もしアップデートに失敗しても前のバージョンがあるのでアップデートに失敗する原因が修正されるまで耐えることができます。 もし特定のソフトが「アップデートなし」と表示され続ける場合は、そのアプリのGitHub ReleasesなどのURLをGear Leverの「Update management(アップデート管理)」セクションに登録してみると良いかと思います。
インストールの方法は、Flatpakで全てのディストリビューション対応です。
flatpak install flathub it.mijorus.gearlever
としてターミナルからコマンドを入れます。
Gear Leverは、AppImageLauncherの後継的な位置づけで、現在積極的に開発されており(2025年時点でも更新あり)、多くのユーザーから「シンプルで使いやすい」と評価されています。
Gear Leverではランチャー登録、あるいはアプリ一覧の表示に必要な.desktopファイルなどを抽出登録できますが、もしすぐに反映しない場合はログインし直して下さい。
まとめ
もうこれがあればしばらくはEdgeとBraveどっちがいいの?という論争はなくなります。Heliumのダウンロードサイズは110MB~130MB程度でBraveもインストーラーは127MBとたいして変わりませんがインストールした後はかなり肥大するかと思います。1~2GBになることもあるかと。Heliumは400MB~1GB程度になるかと思いますがだいぶ軽量であると言えると思います。
巷では、ChromeかFirefoxかで論争が起こりますが、するとだいたいbraveがあるじゃないか、Edgeで十分という人が現れます。しかし、個人的にはChrome系はHeliumが代表で、Helium vs Firefox と言う対立であるべきだと思います。
Firefoxの意義は、Google一社の独占を阻む唯一の主要な独自エンジンで、Webの多様性を守るために価値があります。
Braveが論争の主役になれない理由としては、収益モデルの存在があり、仮想通貨(BAT)や独自の広告配信、VPN販売など、ブラウザ自体が「ビジネス」になっています。更にAIやウォレットなどが「ブロート」化しており、これを嫌う層にとっては「Chromeの代わりにはなっても、究極のブラウザではない」と見なされます。
これを踏まえて、「Braveがあるじゃないか」という介入は、利便性や機能性を求める一般的な回答であるわけですが、「ブラウザはユーザーに代わって余計なことをすべきではない」という哲学に立つならば、Helium(究極の引き算)か、Firefox(独立した選択肢)かという議論こそが、真にインターネットの未来を考える人たちの論争にふさわしいと言えるでしょう。
足していくのは機能拡張で良いのです。そのためのものです。引いていくことが大事であって、OSにしろソフトにしろシンプルであって思ったことが思うようにできることが大事ではないでしょうか?ファイルを右クリックしたら出てくるメニューはシンプルかつ効率的であるべきです。決して機能を上乗せして不便にすることではないと思います。
私がHeliumを勧める理由はこういう所です。
そして、2026年、新しいWebエンジンを積んだブラウザが生まれます。名前はLadybird。最初のアルファ版がリリースされます。2027年にベータ版が出て、一般的に出回るのは2028年になると予想されています。LibWebと言う新しいレンダリングエンジンと、LibJSと言う新しいJavaScriptエンジンを全てゼロから新しく作られる第4のエンジンのブラウザです。ブロートゼロを体現する非営利モデルであり、収益化の否定をし、寄付とスポンサー(CloudflareやGitHub創設者など)によってのみ支えられている純粋なブラウザでMozillaと同様に非営利団体「Ladybird Browser Initiative」によって運営されます。
Ladybirdは、多くのユーザーが理想としながらも実現が困難だった領域に挑んでいます。Ladybirdが登場することで、
- Firefox派は 「独自エンジンだが、収益のためにGoogle等と協力せざるを得ない」
- Helium派は 「エンジンはGoogle製(Chromium)だが、究極にクリーンである」
- Ladybird派は 「エンジンも独自、かつ一切の収益化や不要な機能(ブロート)を排除した究極の独立」
というような対立の構造になります。
AIブラウザがどうなるかにもよりますが、基本的にコストがかかるため、そのコストの維持のためどうしても収益が必要になります。なのでAIブラウザが入り込んでくるとそれは議論の軸がぶれはじめて、ブラウザどうのよりもAIを使用するためのコストをどうするか、AIの小型化やデータ共有のビジネスモデルの話になっていきそうなのでブラウザ自体の議論ではなくなります。なのでここでは割愛します。
優秀なブラウザとはなにかを議論する時、結局のところ、最も重要な問いは「そのブラウザは誰のために動いているか」ではないでしょうか?
- 開発企業の収益のために動いているのか
- ユーザーの意志のために動いているのか
もし使用する人が「ブラウザはユーザーの手足であるべきだ」と考えるなら、HeliumやLadybirdのような「ブロートゼロ」で「独立したエンジン」を目指すものが、究極の優秀なブラウザになります。一方で、「ブラウザはWeb体験を最大化するサービスだ」と考えるなら、最新AIを統合した多機能ブラウザが最も優秀に見えるでしょう。この「哲学の不一致」を認識することこそが、議論を深めるための出発点になるでしょう。
それらは別のポジションにあるのだと思います。例えば、道路を走るのに車にするかバイクにするかみたいな。