2025年、話題になったディストリビューション
個人的にはディストリビューション自体よりもHyprlandやNiriなどのタイリングウィンドウマネージャー(コンポジター)が目につきました。
Rice環境(dotfiles)をいくつか紹介
2025年、特にHyprland(および一部niri対応)のdotfilesコミュニティでは、自動インストールスクリプトの充実、壁紙ベースの自動テーマ生成(Matugenなど)、Quickshellベースの統合シェル、デスクトップ環境風のGUI設定ツールがトレンドとなりました。
dotfiles(ドットファイル)とは
ファイル名やディレクトリ名が「.」(ドット)から始まる隠しファイル/ディレクトリの総称です。これらはUnix系OS(Linux、macOSなど)の伝統的な仕組みで、主な役割はアプリケーションやツールの設定(configuration)を保存することです。ホームディレクトリがごったにならないように隠しファイルとなっています。設定ファイルは通常めったにいじらないので目立たないようにする慣習です。
ML4W Dotfiles (My Linux 4 Work by Stephan Raabe)
デスクトップ環境風のフル機能な体験を提供しています。GUI設定アプリ(テーマ/キー設定/パネルカスタム)、ウェルカムアプリ、壁紙自動適応テーマ(Material You風)、ダーク/ライトモード切り替えが標準装備。
JaKooLit/Hyprland-Dots
複数のディストリビューション向け自動インストールスクリプトが充実(PPA対応で最新Hyprlandなど)。テーマ選択可能、waybar/rofi/kittyなどの統合が美しく、初心者がすぐに美麗デスクトップを実現。
PPA対応とは
主にUbuntu(や、その派生ディストリビューション)でPersonal Package Archive(PPA)をサポートしている、またはPPAを使ってソフトウェアをインストールできるように対応していることを指します。
UnixPornとは
主にRedditのサブレッド r/unixporn を指すコミュニティ/用語です。LinuxやUnix-like OS(BSDなど)のデスクトップ環境を美しくカスタマイズ(rice)したスクリーンショットを共有する場所で、視覚的に魅力的なセットアップを「ポルノ」のように楽しむというジョークから名付けられています(SFW: Safe For Work、つまりエロティックな意味ではなく、クリーンな意味)。
DankMaterialShell (AvengeMedia/DankMaterialShell)
Quickshell と Go言語で構築された統合デスクトップシェル(バー/通知/ダッシュボード/ロック画面を一元化)。Material Design風のダイナミックテーマ(壁紙から自動配色)、スクリーンショットツール内蔵、niri/Hyprland最適化(ワークスペース/モニター管理)。
end-4/dots-hyprland(illogical-impulse)
ミニマルでクリーン、端末重視の美学。自動インストールスクリプト、pywal/matugen統合で壁紙自動テーマ。
以下のディストリビューションは、2025年のLinux全体のトレンド(Wayland完全移行、immutable(不変)の信頼性向上、新デスクトップ環境の登場)を体現しており、従来版からの技術的飛躍が特に大きいものです。
2025年注目のディストリビューション
1. Pop!_OS
System76が開発するUbuntuベースのディストリビューションで、2025年12月に自社開発のRust製デスクトップ環境COSMICの安定版のリリースを実現しました。
ただし新しいデスクトップ環境であるCOSMICはまだできたてであり、Ubuntuなどのように簡単に日本語環境を作れるわけではありません。
またCOSMICと付くアプリは設定(Cosmic Settings)以外で日本語を使うのが困難かもしれません(読めるけど書けない等)。
2. CachyOS
Arch Linuxベースのディストリビューションで、2025年にパフォーマンス最適化が飛躍的に進みました。x86-64-v3/v4向けのカーネルビルド、高度なスケジューラー採用、自動ハードウェア検出ツールの強化により、特にゲーミングや高負荷作業で最高クラスの速度を実現。
元々が初心者向けのディストリビューションではないのでArch系に不慣れな場合は別のArch系ディストリビューション(例えばEndeavourOSなど)である程度慣れてから移行するのが良いかと思います。
2026/1/20 追記
NAS(自宅サーバーやファイルサーバー)、高性能ワークステーション、Webサーバー、データベースサーバーなどがターゲットになっており、AMD EPYCサーバーで試したベンチマークで、Ubuntu LTSより11%前後速い結果が出ている報告があるようです。
開発チームは、「Server Editionでは将来的にCVE(脆弱性)対応を優先した別リポジトリや、ミラー同期を月1回に抑える形を検討中」とコメントしており、完全にデスクトップと同じローリングではなく、少し安定寄りに調整する余地を残している感じです。
3. Fedora
Red Hatが支援して、培った技術を還元しているFedoraは、Waylandの先駆者として2025年にさらに成熟。HDRサポート、コンテナ統合の強化、immutable(不変)デザインモデルの標準化が進み、atomic updatesによる信頼性とロールバックの容易さが向上。
mutable(可変)ディストロとは
従来のパッケージがシステムを変更・更新するような、つまりはWindowsのようなシステムで、ソフトがシステムを上書きあるいはファイルやディレクトリを削除したりして、本来必要なものが改変されてしまうようなものを言います。
Fedoraには、あるいは他のディストリビューションでもそうかも知れませんが、エディション、Atomicデスクトップ、スピンとカテゴリがあります、特に2025年現在、Atomicデスクトップが急速に主流化しています。
- エディションはFedora Projectが公式に最も推奨・サポートする主要なバリエーションです。Workstationが最も一般的な「Fedora」のイメージでしょうか。
- Atomicデスクトップはimmutable(不変)/atomic更新を採用した次世代デスクトップで、システムのベースイメージがread-onlyで、更新はイメージ全体を置き換える方式(OSTree + rpm-ostree)。壊れにくくロールバックが簡単になっています。
- スピンとは、従来のパッケージ管理を使いながら異なるデスクトップ環境をプリインストールしたバリエーション、ディストリビューションによってはフレーバーにあたります。
4. Bazzite
SteamOSインスパイアのimmutableゲーミングディストリビューションで、2025年にatomic updatesの安定化とゲーミング特化機能(HDR、VRR、Steam統合)の大幅改善が見られました。
プロプライエタリドライバとは
いわゆるメーカーが配布しているクローズドソース(非オープンソース)のドライバを指します。Linuxでの一般的な理解としてはNvidiaのドライバーを指していてAMD/Intelは基本的にオープンソースドライバで十分(Mesa最適化版が標準)です。
これらの動画で言われていることは間違っていないけど間違っているとも思います。ゲームをするのであれば古いPCの救済は相反するものと言えます。
上記動画ではもう少し新しいGPUを使用しています。本当に古い(古すぎない)PCで高負荷ゲームをするならWindowsの方が有利ですし、他のレビューでもそう言う事が言われています。
immutable/Atomicなものというのは「提供されている形で使う」前提で設計されているため、柔軟性が低いというのが最大の弱点です。ゲーム以外で使うのであれば不満が出るのは火を見るよりも明らかでしょう。


提供されているものの中でしか力を発揮できないので、提供されているベースの完成度がユーザーの満足度に直結しているとも言えます。
こういう点をよく理解しておく必要があります。
簡単に導入できて壊れにくいのはとても良いことですが、Linuxディストリビューションに求めるものはそこでしょうか?
どういう進化があったか?
Waylandの全体的な成熟と移行加速があり、KDEが2027年以降Wayland-onlyを宣言し、他のデスクトップ環境も追従傾向にあります。NVIDIAドライバ(590シリーズ)で大幅改善もありました。
Linuxカーネルでは、Rustコードの増加、メモリ管理最適化が行われ、HDRメタデータ処理、動的トリプルバッファリング、入力遅延低減で、グラフィックス体験がX11を超えるレベルになりパフォーマンス向上(低消費電力、多モニター対応)も促進されています。
LinuxカーネルでRustコードの増加
2025年12月上旬、Linux Kernel Maintainers Summitで、LinuxのカーネルのRust統合ついて議論され「実験的(experimental)」ステータスを外すことが合意されました。 Rustは新ドライバやサブシステムで積極的に使われるようになり、将来的に一部の領域(グラフィックスドライバ等)でC言語の新規コードを制限する動きも出てきそうです。ただし、カーネル全体をRustで書き換えるわけではなく、Cが主流のままです。
Propeller/AutoFDO使用とは
実際の実行状況(どのコードがよく使われるか)を調べて、カーネルやプログラムのコードをより効率的に並び替え・最適化する技術です。
Fedora Atomicデスクトップ(Silverblue/Kinoiteなどのリブランド版)が標準化され、Bazziteなどの派生ディストリもこれを基盤に強化されています。
ObsidianOSなどにみられるA/Bパーティションシステム
Fedora Atomicなどとは別に、A/Bパーティション(A/B partitioning)は、immutable(不変)OSの代表的な実現方法の一つで、システムのルートファイルシステム(/)を2つの独立したパーティション(AとB)に分け、交互に使用する仕組みです。
現在使用中のパーティションを「Present(A)」とし、もう一方を「Future(B)」と呼びます。システムは常に一方のパーティションからブートします。アップデートは稼働していない方(Future)のパーティションに適用されます。現在稼働中のパーティションは一切触れません。
こうすることでアップデート失敗でシステムが壊れるリスクがほぼゼロ。常にブート可能な状態が保証されます。
ロールバックの方法が乏しい、あるいは「無い」ディストリビューションでは、最悪データのバックアップもしていないでしょうからデータも失ってクリーンインストールとなってしまいます。
Atomicシステムは、更新や変更が「すべて成功するか、一切適用されないか」の二択しかなく、中間状態(半壊れ)にならない仕組みを指します。Immutable(不変)と組み合わさることが多く、ベースシステムが読み取り専用で保護されます。
これまでで言えば、更新したりインストールして、依存関係が破綻したりして最悪ブートできない状態になるのが最悪のケースです。しかし、上記のAtomicな方式では稼働していない方に新しいイメージを適用して再起動かあるいはユーティリティーで切り替えたりして適用できます。
アプリなどはFlatpakなどを使用して、システムを変更する事なくサンドボックス(コンテナ)にインストールすることでホストシステムを汚染することがないとなっています。以前の記事での説明ではファミコンのようなものと説明しました。
2025年のLinuxでは、immutable(不変)/atomic(特にA/BやOSTree)が主流化し、システムの信頼性が劇的に向上しました。従来のように「アップデートで壊れた…」というトラブルが激減し、初心者や日常使いに最適です。一方、従来型は上級者向けの柔軟さが残っています。
2026年の展望は?
これまでの動向から特に、Waylandの完全移行とimmutable(不変)/atomicアーキテクチャの主流化が加速する年になりそうです。
2025年までの従来の方法ではWindowsから移行してきたばかりの初心者が、間違った方法でシステムを変更(更新・インストール・アンインストール)した場合に、それらがきっかけでシステムを壊してしまう場合があると思います。
これらは既に実用化されていますが一部のディストリビューションだけなのでそれらが広がると色々なサイトでは言われています。
すでにメジャーなディストリビューションの多くがX11依存から脱却してWaylandに移行しています。X11も開発されているにはされていますが活発には行われておらず様々な問題を含んでいるためWaylandに移行が進んでおり、Waylandに対応したSwayやあるいはHyprland、Niriのようなウィンドウマネージャー、コンポジターが台頭してくるのも当然の流れです。configファイルをGUIで編集できるようなものも出てきています。
まとめ
Windows10からの移行なども拍車をかけたのか、それとも関係なく伸びているのかはわかりませんが、Linuxのデスクトップシェアがグローバルで約4.7%に達し、プライバシー意識の高まり等で2026年には6%前後へと増加予測。米国で5%超え、インドなどで高い採用率が言われています。
Waylandの完全主流化となり、Ubuntu/Fedora/KDE PlasmaがX11をほぼ廃止。KDE Plasma 6.8(2026-2027頃)でWayland-onlyへ移行、HDR/セキュリティ向上に繋がっています。
全体として、信頼性・セキュリティ・使いやすさが向上し、Windowsからの移行が本格化する年になりそうです。あと、問題としてはやはり日本語環境の簡単な導入でしょうか。これがどのディストリビューションでもできるようになれば多少システム側の敷居が高くてもどうにかなるだろうと思うのです。sudo dnf install fcitx5-im fcitx5-mozcをした可能性がなくもないですが。記憶が曖昧な所がありますが入力環境が簡単に整うのはとても良いと思いました。
これはUbuntu派生のPop!_OSでもおそらく同じだろうと思います。パッケージマネージャを動かしてインストールするわけではなく設定からできるのが初心者にも優しいと思います。
ちなみにArch系でもCosmicはsudo pacman -S fcitx5-im fcitx5-mozcとして入力だけしたら、従来通りの環境変数を入れなくても日本語が使えるようになっていました((Cosmic独自のウプリ以外での例えばgeditなどのテキストエディター、Ghosttyなどのターミナルなどでは可能。))が別途入力のボタンの変更(キーボード・入力の切り替えのデフォルトはCtrl + Space)や、かな・ローマ字入力の設定などが必要になります。
こういう細かな所が面倒だと思う所に繋がるので改善されるといいなと期待しています。