基本は好きなもので OK
ギターは基本的に好きなメーカー、デザインで選んで問題ないと思います。しかし気になるのはそのギターが良いギターかどうかだと言うことかと。
有名なメーカーのものでもエントリーモデルでは使われる材質や製造方法もそれなりになっていることも多いでしょう。価格が安いので材料に高いものを使うことはできないのは理解してもらえると思いますが、製造方法がいまいちと言うのが気になるところ。
希少な材料を使う時、それをクラフトマンなりたてと言うような新人職人に任せはしないはずです。特にアコースティックギターの場合、ボディがより音を振動させ、また美しい音が鳴るための設計や狂いの少ない製造方法を期待するのであればやはりベテランに任せられるだろうと思います。
指板によく使われるローズウッド。硬い材で減りが少なく指板材としては適している材だが、この記事を修正している(2017/03/06)までに、ワシントン条約でローズウッド全種輸出入規制の対象になるというニュースがあった。2017年1月2日より実施となる。一応、手続きをして許可を得れば可能という話だが以前のようにはできなくなり、これに伴ってローズウッドを使用したギターの高騰が危惧される
では、そういうものをどうやって見分けるか。それは値段に他なりません。
一概に価格が高ければ良いというものでもないですが、大まかには良いものにはそれなりの値段がついていることがほとんどです。技術どうのよりも材料が高いという点もありますから。
よくビンテージモデルうんぬんと言う話を聞く事もあると思います。現在は使われなくなった材料や製法を用いていたり、現在製造されていないモデルであったりしてプレミアが付き、値段がべらぼうに高いというのは、そのレアリティに値段がついていることもあり、それが音の良さ、ギターの良さに直結しているかはやや疑問も残ります。
ギブソンなどは薬剤などを用いて現在の材を敢えてビンテージ風に加工する技術を以てニューモデルなのにビンテージと言うようなモデルも出してたりも。
元々ギターは家具職人のような人らが作り始めたとも言われていて、ノリノリの外人は散弾銃で木材を撃ちアンティーク加工をする場合もあったりで様々な技術で現在は古く見せることは可能であり、また時間が経過したような状態に木材をすることもできるわけですが、人工的にそのようにしたものと自然とそうなったものは微妙な違いがあったりして希少性(レアリティ)も加味して価格をつけられたりしているわけです。
どうしても例が欲しい人には
そこで一般の人向けにおおよその目安としては、アコースティックギターはこんな感じに分けられてると思います。
- 5万円まではエントリーモデル
- 5万円~10万円以上はスタンダードモデル
- 10万円~30万円はハイスタンダードモデル
- 30万円以上はエキスパートモデル
このように、ひとまずギターに触れたい場合は5万円前後でも、
- チューニングが正しくできる
- そこそこ満足な音が鳴る
- その音がだいたい正確
であれば、問題などはないわけです。
チューニングが正しくできているのに、その音がだいたい正確と言うのはなんかおかしくないか?と思われるかもしれませんが、フレット音痴というのもあります。チューニングは開放弦を合わせているのであって弦を押さえた時に正しい音が鳴っているというわけではないのです。
そこでナット調整やフレット調整、更にはオクターブ調整などをして正しい音が出せるようにするのですが、これらは素人でもできなくはないものの機材がなくてできないことがほとんどなので、ショップに任せることになるかと思います。
初心者には
しかしできれば上のリストで言うスタンダードモデルを選ぶのが良いと思うわけです。理由としては、自分が買える中で少し高いクラスのギターを選ぶ事で挫折への葛藤というか歯止めというかせっかくこれを買ったんだからと辞められない状態を自らに課しておくべきと思うわけです。
そういう意味でもなるべくなら初心者にはスタンダードモデルクラスを選んで欲しいのです。
もちろんエントリーモデルでもやたらに鳴るギターや、全然これでいけるやん!と言うギターはあるわけですが、最初はやる気に満ちているので良いものの挫折なくすんなり弾けるような人は本当に稀なのでそのあたりは考慮して購入していただきたいのです。
5~10万円というのは一般的には安くない出費であり、それはその人の経済力によって高いか安いかは変わります。ひと夏バイトをしてギターを買う学生もいるでしょう。
先にも書きましたがいきなり弾ける人はかなり少なく、ギターを覚えるまでにはいくつかの壁があり、それを乗り越えるまでに何度か挫折を覚えます。そういった場合に、放置しておくにはもったいないと思えるぐらいの値段は出すべきであろうと思うのです。
それぐらいに楽器の習得はたやすくはないものなのです。
ある程度弾けるようになって、もっと弾きやすいあるいは良い音が欲しいと言うのであればハイスタンダードモデルの10万円以上クラスを選びたいです。
このあたりからは国内メーカーなら日本国内でそれ相応の職人さんが作っているだろうと思います。安価なものは人件費のかからない国で生産して輸入と言うのがほとんどかと。
もちろん国内生産にこだわったメーカーもありますし、技術の継承の面からも海外生産で輸入よりはほそぼそと国内でこだわって作って欲しいのが本音ではありますが、ギターはあまりにもポピュラーな楽器であって多少のこだわりを捨ててでも工場で大量生産したい側面もわかります。
そのおかげで安く購入できる恩恵もあります。ただ、安く良いものを常々求めてしまっているのです。
2025年現在で評価が高いモデルは、
- YAMAHA FG800~FG830
- 5万円までから5万円前後ぐらいだが、バランスもよくコストパフォーマンスが高い
- Eastman PCH2‑D
- 6~7 万円前後ぐらい。作りも丁寧で Pingwell RM 1171-CVR 3+3 という良さげなチューナーも装備されている。YAMAHAはたくさんの人が使ってるんで「なんか嫌」というこだわりある人におすすめ。見た目は普通のアコギなのでどこにでも持っていける。
- Taylor Academy12e
- 10万円から買える本格派ギター。初心者向け最高峰。中~上級者が使っても全然恥ずかしくない。Taylor が初心者のために本気で考えた1本。
- Enya X4 Pro Carbon Fiber
- 7~10万円ぐらい。フルカーボンで耐候性抜群。あわせて温度湿度耐性も高い。音も豊かでレスポンス良好でBluetooth付きピックアップモデルもあり。
Eastman、またはPCHとは
創業者は北京出身で、ボストン大学で音楽を学んだチェン・ニー氏。1992年にEastman Stringsを設立し、クラシック弦楽器(バイオリンなど)からスタートしました。現在でもほとんどの工程を手作業で行っており、チャイニーズ方式の大量生産とは一線を画す、伝統的なギター制作技術に根ざした職人仕事が行われています。
PCHとは、Pacific Coast Highwayの略でカリフォルニアの名高い海岸線の自由で開放的な雰囲気をイメージして名付けたシリーズ名です。ブランドのポジションとしては、エントリー~ミドル価格帯のアコースティックモデルとして位置づけられたシリーズで、手頃ながら確かな品質を目指しています。
PCHに続く数字はグレードを表しており、PCH1は最もベーシックなモデルです。トップは単板スプルース、サイド・バックは積層(ラミネート)で装飾も少なめ。PCH2はより外観と素材をアップグレードし、ローズウッドなども使用される。音質面も向上。PCH3は更に上位仕様で、木材も仕上げも質感が向上しています。音質も更に良くなっています。
更に同じ数字でもGACE(Grand Auditorium Cutaway Electric)やD(Dreadnought)、OM(Orchestra Model)などのボディ形状記号と組み合わさってモデル名になります
中級者には
中級者は良いスタンダード~ハイスタンダードモデルの価格帯のギターが、使い勝手もそれに見合った購入しやすさもあって良いだろうと思います。ただ高価な事には違いなく、車のように実用的なものでもない楽器にそこまでお金をかける必要性も見当たらないわけで、つまりはギターも他の何かしらでも中級者ぐらいになって、ひと通り何でもできるようになってくれば選択肢が増えるので、早々にこの域に到達すべきではあるのです。
チューニングが狂う事や、音質さえ気にしなければ数千円のギターでも何ら問題ない場合もあります。それが楽器なのです。
もし30万円以上のエキスパートモデルが欲しいと言うのであれば、自分の腕にも相談して欲しいわけです。下手な人が良いギターを使えば音は良いけど技量と見合っていないと思われ、格好の良いものではありません。
そもそも中級者の段階でお金がある人は、別に高いギターを買っても何も問題なく好きにすれば良いところですが、初心者が高級なギターを使うのは無駄以外の何物でもないわけです。
好きにできるということや、自由があると言うのは逆に難しさをはらんでいます。
2025年現在で評価が高いモデルは、
- Taylor 214ce
- 9~15万円ぐらいだろうか。プロ仕様に匹敵する完成度と評される。ES2ピックアップ搭載でライブ・録音でも高評価
- Guild D-140
- 10~15万円ぐらい。Martin は嫌いなんだよという方でMartinに匹敵する重厚感ある音をよりリーズナブルに選びたい場合はこれ。
- Martin D‑18 Standard
- 25~30万クラスで、趣味で買うならこれ以上は不要とも言われるギター。豊かな音、中音域の輪郭がはっきりとして幅広く使用できる生涯使えるギター。
- Gibson J‑45 Standard
- 25~30万クラス。言わずと知れたギターなので説明不要
- Larrivée D-03
- 20~30万円クラス。カナダ発のハンドメイド系ブランドで、シンプルなルックスながら精密で抜群のバランス。Taylor よりもナチュラルでMartinよりもクリアと言う声もあるとか。
- Maton EBG808TE
- 38~45万円。Tommy Emmanuelシグネチャーモデル。万能フィンガースタイル向け。Maton独自のピックアップシステムAP5-Proが圧倒的高評価を得ている。ピエゾ+マイクのミックス方式で、ラインでもナチュラルに鳴ると言う。オーストラリア材を使用しており、職人製ながらやや粗さもあるがオーストラリアでは国民的ブランド。
Larrivéeとは
Larrivéeは1967年にカナダ・モントリオールでジャン・ラリヴィー(Jean Larrivée)氏が創業。高精度なハンドクラフトとシンメトリカル・ブレーシング(独自の力木構造)が特徴で、北米ではMartinやTaylorの並びで評価されることもあります。日本には1990年代〜2000年代初頭から少数輸入されていましたが、代理店は大手ではなく一部の楽器店が限定的に取り扱っていたため、広くは知られていませんでした。
Larrivéeギターは基本的にハンドメイドで高級ギターメーカーです。03シリーズはLarrivéeの基本構造・音響設計はそのままに、装飾や木材グレードを抑えて価格を下げたラインであり、他のメーカーの中~上位クラスがLarrivéeのエントリーモデルになっています。
ここに挙げたものはいわゆる量産ギターではありながらも、厳選素材・設計を取り入れたハイクオリティギター。プレイヤーの腕が確かであればあるほど真価を発揮するものを選びました。おそらく価格も上記より高いかも知れません。
このように、いくつかピックアップしたとしても何が良いかはそれぞれにあり異っていて、オススメは色々あるもののこれが一番というのが決められるポイントが見つかりません。もう悪い所を探す方が難しいのではなかろうかと。
多くの場合、弾き比べたらこっちのほうが良いなという場合があったりしますが、曲にもより弾き方にもよりなのでもう本当に好きなのを選べばいいやんというしかないのです。ただ、初心者向けに挙げたものと中~上級者向けで挙げたものには同じと言えばそうですがやはり音質の良さが違うと動画を見ただけでも言えると思うのです。
もちろん値段の分は良くなっていてもらわなくては困るわけですが、動画ではわからない音圧であったり広がりであったり弾きやすさ、持ちやすさその他諸々は実際に弾いてみないとわからないので、必ず店で試し弾きをして自身の身体で感じてほしいのです。高いものですから。ネットで買えるとは言え、必ず一度は購入前に現物を弾いてみるのが大事です。
車に例えたら
このあたりは車選びとも似ています。
都会に住む若者が車を買おうと考えた。普段は電車通勤で休みやプライベートでちょっと乗るだけと言う人がランドクルーザーなんかを買う。もしかすると休みにアウトドアで川とか荒れた道に行くかもしれないと思って。しかし本気な人はランクルなんか選ばずにジムニーを選ぶ。
その人が車を買い換える時、こんなふうにも考えたりする。
「ランクルではあんまり荒れた道も走らなかったし、荷物が積めたらいいから今度はツーリングワゴンにしよう。」
しかしその後、彼はアウトドアへの興味が失せ、燃費もたいして良くないツーリングワゴンに乗り、やがて結婚して軽自動車に落ち着く。
つまりはこんな事がギターでもありえるわけです。幸いな事にギターは車ほどには高くはなく、人によっては何本も持つのが普通な場合もあるので、用途によって使い分けしやすいわけですが、どこを目標にどれぐらいのギターを選ぶかは散々考えた末に、実物を見て、ショップで試し弾きしてから購入するようにした方がいいと思います。
ギター自体の大きさ、ネックの握りやすさ、もちろん音質、音量、デザイン等見るべき所はとても多いため、自分に合う 1 本は慎重に選びたいものです。
散々ギターを弾いてきた管理人としては、一生モノのギターを1本、いつか購入するとして普段はスタンダードモデル程度で問題ない事が多かったです。財布に余裕があれば高いのを買うのも自由、好きなデザインで好きなメーカーを選べばいいと思います。ただカタログが擦り切れるほど読んで、悩んだ上で購入するのが好ましいと思います。
そういう時期が一番楽しいのですから。
上級者には
上級者は、何を弾いても何でもできるようになっていますからどれを選んでも良いわけで、むしろ自分でこれだと言う一本を見つけられない内は上級者ではないのではないかと思ったりもします。
むしろ、どんなギターを使うにしてもそれ以上に音楽について深く追求して欲しいと思います。
そして使い分けという観念がでてくるかも知れません。例えばチューニングが異なるギターを用意するとか、ストローク用、フィンガリング用、音質などの用途に合わせてとより細かく場面に合わせて使い分けるこだわりがあってもよいかと思います。同じメーカーの同じモデルでも個体差もあるのでそれが違うモデルであればだいぶ異なる音が出るというのはわかってもらえると思います。
実際このページにある動画を見比べ聞き比べてみてもおそらく、初心者向けのでも十分じゃないか?!と思ってもらえたと思うのです。そうなんです。十分なのです。安いものには物足りなさはあるかもしれませんが、その足りない分が上級クラスを購入することで得られるかどうかなのです。またその値段に見合うだろうかということなのです。
taylor Academyでも、EastmanでもEnya X4のカーボンギターでも結構良いですよね?その良いと思う所から更に上にある自分を満足させる何かに、その差額の20万とか30万に意味があるだろうかという点です。
一定のレベル以上に行くにはそれまでより更に微妙な調整やほんの少しの良さだけが必要で、それを出すのにそこそこの出費をしないといけないというのはもうこだわり以外の何物でもありません。
作っている方のこだわりはより良いものを作りたいという意味からもわかりますが、プレーヤーはどうでしょうか?音楽がダメなのは楽器のせいだけではないだろう?と言うことです。
一番良いのは値段はそこそこで素晴らしい音色と弾き心地です。「なんでこの値段でこんな良い音がするんだ?めっちゃ弾きやすいし」これに勝てるものはありません。お金を出して良いものが買えるのは妥当でしか無いのです。
前に車で例えていたのでここでもたとえるとすると、国道を60km/hでしか走れないのに300km/h出る車が必要だろうか?という所なのです。スピードやパワーがある方が楽に乗れるという人もいるでしょう。せいぜい120km/h出たら良いんじゃないか?いや180km/hは欲しいと、どこまで渇望するか。
時計にしても車やギターでも高級なクラスはある意味ステータスです。なので、ある意味、どこで妥協できるかというのもあり金は惜しまないというのもありで、それらの自分にとって最も良い点を見つけられるように、もし誰かが自分が欲しいと思っていたギターを持っていたらちょっと弾かせてもらったり目の前で聞いたりして生の音を確かめることは何よりも大事だと思います。