カポは何をするものか?
カポタストは、一般的にはギターコードを簡単に押さえるものだと言われたりもしますが実際はキーを変えるための道具です。
どのようにしてカポを使うか
初心者にとって、カポが何をするものか、何ができるのかは全く想像もつかないだろうと思います。もしかするとなんとなく誰かに聞いているかもしれませんが、
- 簡単にコードを押さえられる
という認識であればそれは正解でもあり、間違いでもあります。どっちかと言うと間違いです。しかしメリットから話していく方が何かと良いかと思うのでまずはそれらを書いていこうと思います。
コードをより簡単に押さえるために
ギターを弾く際、カポをフレットに装着することによって簡単にキーを変更することができ、容易にコードを押さえられることがあります。特にバレーを多用する曲などはカポを装着することによって、開放弦を含むコードで弾ける場合もあり便利でもあります。#やbのついたコードから #やbを取り除いたりすることもできます。
こういったキーを変更することによって比較的簡単なコードに変えられると言う事がひとり歩きして、簡単にコードを押さえられる道具と勘違いしてしまいがちですが、主な利用方法はキーを変更する道具であることと覚えておいて下さい。
キーを変更する道具ではありますが、それらを理解するためには音楽とギターの仕組みを理解する必要があり、すぐには使いこなせないかもしれませんが、曲によっては本当に簡単なコードで弾ける場合もあるので真意を知らないで形から入った場合はコードを簡単にするものだと思われても仕方がないぐらいのものです。
本来の用途はキーの変更
本来の用途はキーの変更ですが、自分のキーを探す時にも使用できます。カポを装着するということは装着したフレットの分だけ音が上がる事を意味しています。もしカポを装着した後も元と同じキーで演奏する場合はコードの方を上げた分だけ下げなければならないわけです。
これは音楽とギターの仕組みを理解する必要があります。
- なぜ元と同じキーで演奏する必要があるのか?
- コードを上げる下げるとは
と謎なキーワードがでてくるわけですが、これらは色んなものが噛み合ってないから謎のままなわけです。それらがちゃんと合致すれば全てが解決されます。これらをこれからウダウダと同じことを繰り返し説明します。
これらは既にここに繋がるようにこれまでに基本は書いてきました。なのでちゃんと理解した方は書いてることもわかってもらえるでしょうし、何度同じことを言うんだと、何度目だナウシカと言われるかも知れませんが、最初から順番に読んでるわけでもないでしょうからそれらはある程度勘弁して下さい。
カポを装着すると、その装着したフレットが0フレットになります。つまりFというコードが弾けない場合、1フレットにカポを装着することでEで弾けるようになると言えます。同様に5フレットにカポを装着するとCで同じ音がでます。
こういうことから、普段カポをしない状態では0フレットに見えないカポがついていると理解するとよいかと思います。
このようにまだ何も説明していないのにそれらの結果を書いてあったりしていることがあります。これらを文字だけで理解するよりは実際にギターを構えてみて、何を言っているのかを確かめて理解するようにしてもらえると助かります。
カポは時折コードを難しくする場合がある。いろんな曲でカポを試していくと、どういう場合にどのフレットにカポを装着すると便利であるかがわかってくる。
どのようにしてそれらを学んでいくかの方法はいくつかあると思うが、最も簡単にそれらのケースを学べる方法は、オリジナルキーとカポを装着した時のキーが記載されているスコアを選択する事だ。
それらの記載からどう言った時にどこにカポを装着すれば最適であるかが理屈がわからなくても、そうなんだと理解できると思う。
F→Bb→Fというコード進行があったとします。
この場合、3フレットにカポを装着するとD→G→Dと弾くことで同じ結果を得られます((実際にそうなるかを簡易ギターコード移調プログラム(令和バージョン)で試してみよう!))。
→ 参考:簡易ギターコード移調プログラム(令和バージョン) Bloggerの旧サイトのリンクです。
カポを2フレット、4フレットに装着した時の場合
通常のチューニング | カポを2フレットに装着した場合 | カポを4フレットに装着した場合 | |||
---|---|---|---|---|---|
1 | E(ミ) | 1 | F#(ファ#) | 1 | G#(ソ#) |
2 | B(シ) | 2 | C#(ド#) | 2 | D#(レ#) |
3 | G(ソ) | 3 | A(ラ) | 3 | B(シ) |
4 | D(レ) | 4 | E(ミ) | 4 | F#(ファ#) |
5 | A(ラ) | 5 | B(シ) | 5 | C#(ド#) |
6 | E(ミ) | 6 | F#(ファ#) | 6 | G#(ソ#) |
カポを2フレットに装着したと言うことは、開放の音(上表:通常のチューニング列が該当します)からフレットを1コ飛ばしで音を上げたということになります((0フレット→1フレット→2フレット))。ギターの1フレットを飛ばして2フレットにカポをつけたということです。
なので上表の「カポを2フレットに装着した場合」全て全音(半音+半音)で、各弦(通常のチューニング:開放弦の音)が1コずつ次の音になっているはずです。
また4フレットに装着した場合2フレットの時から見てフレット1コ飛ばしで音が次の音になっています。
- これが何を意味しているかわからない場合は、アルファベットとドレミと指板と押弦の音を再確認して下さい。
その曲のオリジナルキー(作曲者が楽譜に表した時のキー)がAであった場合、Aでは弾きにくい(あるいは弾けない)と言う時は、カポを2フレットにつけてGで弾いても良いわけです。こう言う使い方をすることでより容易に演奏ができたりもします。
また、この方法を知っていればキーを下げて歌うことができます。つまり上記の方法でキーを変更した後、カポを外してしまえばいいのです。キーがAである曲をGで歌えば1音下のキーで歌うことができるわけですから。カポを装着してコードの仕組みを知ることでより高度なギターの使用方法がわかるというわけです。
これら仕組みを用いて脳内でコード進行のトランスポーズをし自分に合うキーで演奏することができるのもカポの仕組み、強いて言えば音楽の仕組みを理解すればこそなのです。
トランスポーズとは
ギターのメロディーやコードをそのままに一定の量だけズラす事です。カラオケでキーを上げる下げると同じことです。キーを上げ下げしても曲がそのまま歌えてしまうのは全てを同じ量だけ上下しているためです。つまりキーの変更分だけメロディーやコードも同じだけ上下していると言うことです。
もう少し具体的に解説
A→F#m→D→Eと言うようなコード進行があった場合、必ずバレーが必要になるのはF#mと言うのがわかります。
F#mは2フレットバレーのEmであるため、そんなに押さえるのが困難なコードではありませんが、もし仮に全てのコードをバレーを使用したコードフォームF、コードフォームBで押さえるとするとこのコード進行はずっとどこかでバレーをしていることになります。
そのためにコードは押さえられるけれども握力が持続しないという別の問題が起こることが考えられます。このコード進行はStand By Meやその他諸々によく使われるコードであって、案外頻繁に使われるコード達でもあります。
バレーをすることでミュートも容易にできることもあるため、上手くバレーを使う方が何かと便利な場合もありますが、常にバレーばかりだとつい力が入って握力がなくなるので、所々でうまく手を抜ける箇所を考えると長く演奏していても疲れにくいのは言うまでもありません。
もっと便利に。まとめ
どうすれば手が疲れることなく押さえることができるのか?こんな場合にもカポは有効です。前述したように、2フレットにカポを装着することは全音分(半音+半音)だけ開放弦の音を上げることになります。つまりはコードを全音分下げれば同じキーで演奏できることになるのです。
全音は半音+半音なので、AはAb→Gとなり、F#mはFm→Emとなります。GもEmも開放弦を含むコードで押さえられるためバレーの位置によっては握力がなくなると言う事は回避できる場合があります。
しかしそれだけではなく、A→F#m→D→Eが2フレットにカポを装着することによってG→Em→C→Dとなった状態のまま、カポを外してG→Em→C→Dで演奏する。これはつまり全音分(1音分)キーを下げたと言う事になるわけです。
元のコード | 1 フレット | 2 フレット |
---|---|---|
A | G# | G |
F#m | Fm | Em |
D | C# | C |
E | D# | D |
キーを変えるという事はオリジナルのキーではなくなると言うことなのですが、メロディーやコードは変えた分だけそのままに上下しますので曲自体が変わるということはありません。むしろオリジナルに忠実に再現したい(コピーしたい)と言うこだわりがなければ、自分のキーで演奏した方が良いに決まっていますし、変に高く歌ったり、低く歌うよりは気持ちよく演奏できるようになります。