カポタスト
カポ。カポタストが正式名称です。これは使い方によっては大変便利な道具です。オリジナルキーがAの場合なら2フレットにカポをつけてGというコードで弾くのが通常でしょう。これは音楽理論を少しかじれば簡単な理屈です。
これは管理人が使用しているVictorCapoDVC-50C(定価3500円也、ショップでは2500~2900円ぐらい)。
ばねで挟み込むタイプのカポは、弾いているうちに音が#になる可能性が高く((ずれてくる。挟んである仕組みがバネのため。))、最近このネジ式のものに変えました。
装着も早く、ネジで絞めるため、絞める力に加減もできる上にずれにくいです。お勧めの一品です。以前使用していたYAMAHAのネジ式のカポは、装着が手間だったりしたので、挟むタイプのカポを探していました。最近はこの手の挟むタイプのカポがほとんどみたいです。もちろん取り付けるのが最も簡単なバネ式の挟み込むものは扱いやすいです。
カポをはめたままで動かすことができるRolling capo。普通のカポに比べると若干値段も張るがそれ以上に利用価値アリ。
例えば、ミスチルのように2コーラスのサビが終わった後、転調するような曲はカポつけてたら無理だろうと思われがちですが、実はスライドカポ(ROLLING カポ)というような製品もあります。それらを使えばコード進行そのままにカポの位置を素早く変更することで転調にも対応できるというわけです。
ニコニコのオリジナルはこちらから見れます。
原理から理解してみる
ギターはサウンドホール側に近いポジションを押さえれば音が高くなります。なので左手でコードを押さえる場合右側に行けば音程は高くなっていきます。
上の図fig1は、ご存知Amです。普通Amを押さえている時は、カポを0フレットに装着していると仮定して考えて下さい。そこで、上図fig2を見て下さい。fig2でBmとDmをよく見るとどちらもAmのコードフォームをそのままに平行移動したというのは理解してもらえるでしょうか?
そして同様にfig3とfig4をあわせて見て下さい。
fig3ではフレットをひとつずらすと半音分、音が上下する事を表しています。つまりfig3の通りにカポを4フレットに装着すると、半音+半音+半音+半音で2音分音が上がった事になります(全音=半音+半音)。そしてどの音からどの音まで音が上がったかを意味するのがfig4の図を見るとより理解できると思います。
fig4の1弦を見てみます。スタンダードチューニングをしたギターの1弦開放音はE(ミ)です。常々言う所のドレミには半音で音が上がるのと、全音移動する事で音が上がる個所があります。ド-レ-ミファ-ソ-ラ-シドと、なっており、ミとファ、シとドは半音で音が上下します。他は全音で音が上下します。
ドレミはアルファベットでCDE…Bと対応するので、fig4の1弦は開放弦Eから1フレット目つまり半音上がった所にF(ファ)があります。以降1フレット移動するごとに半音上がって行きます。他の弦も同様に上がります。そこでfig2を見て下さい。カポもしくはバレー(セーハー)を2フレットに装着すると、つまりは元の音から1音高くなります。これをkeyを1音上げたと言います。
アルファベットのAの次はB。AとBは全音で1音上がるためフレットで言うと2フレット分音を上げる必要があるわけです。Amをカポ0で考えるとBmはカポ2。実に簡単な事です。
コードフォームの平行移動でコードが変えられると言う理屈を知るには、
- ドレミファソラシがCDEFGABと言いかえられる事
- 全音と半音を知る(詳細はアルファベットとドレミ あたりを読み直して欲しい)
- 音階にはミ←→ファ、シ←→ドのみ半音で次の音に行く、他は全部全音で音が移動する
つまり、ミ#はファの事であり、ド♭はシの事であると言うわけだ。またC#とDbは同じと扱いますが実際は微妙な違いの周波数を出しています。
他の音の間((半音階。CとDならC#やDb))には#や♭を入れます。これは全音で次の音に移動するためです。
これはギターで言うとすると、F→Gの場合バレーは1フレット→3フレットと移動します。この間のF#つまり2フレットの位置を指しています。これらから言えることは、音階の仕組み(全音や半音)はギターコードにも言えると言うことであり、カポでフレットすべてを押さえるということは移動したフレット分、スタンダードチューニングの各開放元の音が上がるということになるわけです。
同様にfig2のDmを見て下さい。AmからDmまでどれぐらい音が離れているかを見てみましょう。
フレット対応表[Am~Dmまで] | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
音 | Am | A#m | Bm | Cm | C#m | Dm |
フレット | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
Amが0フレットと言うことから、対応する数字をAm=0として、Dmまで半音刻みに数字を振ったのが図のフレット対応表[Am~Dmまで]です。
この表からわかるように半音刻みでAmからDmまでどれだけ移動するかと言うと、半音が5つ分移動したのがわかります。
ギターの1フレットは半音にあたるので、半音5つ分つまり5フレットの位置にカポなりバレー(セーハー)を作ってAmのコードフォームを押さえればDmになると言う事です。
結果としてこういうことが言えます。
カポは1~6弦を装着したフレット×半音分、音の高さを変えることができるのだと。
重要なのはカポをつけていない状態の時、カポを0フレットにつけていると仮定する事です。
5フレットにカポを付けたとすると半音で5つ分、音(2音半)が高くなったということになります。2フレットなら半音+半音で全音(1音分)音が高くなったということです。
ここで必ず覚えておく必要があるのはドレミファソラシドの構造。
- ミとファ、シとドは半音で音が移動。
- 他は全音で音が移動する。
これを理解していないと間違った認識となってしまいます。
コードのルートとコードタイプから目的のコードを探す
コードのベースとなる音(調) | 1カポ | 2カポ | 3カポ | 4カポ | 5カポ |
---|---|---|---|---|---|
C | B | A#(Bb) | A | G#(Ab) | G |
C#(Bb) | C | B | A#(Bb) | A | G#(Ab) |
D | C#(Bb) | C | B | A#(Bb) | A |
D#(Eb) | D | C#(Bb) | C | B | A#(Bb) |
E | D#(Eb) | D | C#(Bb) | C | B |
F | E | D#(Eb) | D | C#(Bb) | C |
F#(Gb) | F | E | D#(Eb) | D | C#(Bb) |
G | G#(Ab) | F | E | D#(Eb) | D |
G#(Ab) | A | F#(Gb) | F | E | D#(Eb) |
A | A#(Bb) | G | F#(Gb) | F | E |
A#(Bb) | B | G#(Ab) | G | F#(Gb) | F |
B | C | A | G#(Ab) | G | F#(Gb) |
コードのベースとなる音(調) | 1カポ | 2カポ | 3カポ | 4カポ | 5カポ |
さて上の表を見て下さい。この表はCm7やC7であったとしても対応しています。カポの列のルートとなる音、つまりはアルファベットに「m7」や「7」のコードのタイプをつけるだけでOKです。m7や7thコードなどは〇〇m
に7
thが追加されています、7thコードは○
と言うコードに7thが追加されていると考えます。
ここから、カポの原理を理解するためには、そのコードのコードタイプ(マイナーやsus4など)は必要ではなく、あくまでキー(調)、ルートとなる音が重要というわけです。
その楽譜に出てくるすべての音が半音上がるのか下がるのか、あるいは任意の音だけ上下するかそれを考えることになります。つまりは、キーをどれだけ上下するかによってコードが変化するとも考えられます。
弾きたい曲のオリジナルキーがA→F#m→D→Eとあったとします。上の表で、コードのベースとなる音からAを見ます。そのまま右に見ていくと2カポの位置でG、4カポでFになることがわかります。
続いてF#mの場合。
F#mはF# + m
とベースとなる音がF#であるので仮にカポを2カポにするとE、4カポでDになります。
元々がF#mであるので、そのEやDにm(マイナー:コードタイプ)をつけて、EmかDmとするということです。
そのように考えていくと、FやDmが出てくる4カポよりは2カポで弾いた方が簡単に弾けることがわかります。
コードの仕組みとしては、
Root + chordType
Rootは、CDEFGABとそれぞれの半音階の#や♭がついたもの。
chordTypeは、m、m7、add9、sus4など様々なタイプがある。
そしてここから、2カポでG→Em→C→Dと、カポ無しでA→F#m→D→Eは同じキーである事を理解いただけるでしょうか?
前提的な知識があれば、カポ自体の説明は以下の見出し「キーの操作」の文章量ぐらいで済みます。
カポを目の前で説明したらここまでの前提知識を全部理解してなくてもある程度はわかるぐらいの道具です。それをこんなにウダウダと説明しているのは、前提知識の方が圧倒的に深いからなのです。
その基本や基礎があってカポがその上にあると言うか、それを利用していると言うか、カポを使わずともすでにバレーで…となってしまうぐらいのものです。
キーの操作
ここからカポの本領が発揮され、例えばオリジナルの音が高いと思った時にはカポの位置を調整すれば良いのです。
ギターのフレット1つは半音分なので、1フレット分低くすれば半音低くなります。
オリジナルのコード進行がA→F#m→D→Eとあるとして、2カポでG→Em→C→Dと脳内変換した後、コード進行をそのままで、1フレットにカポをつければコード進行も簡単になり、半音下げたということになるわけです。
もし全音分(1音分)音を下げたいのであればカポをとってG→Em→C→Dで演奏すれば良いだけなのです。
カポを1フレット分ずつ上げていくと上げた分だけ開放弦の音(チューニングの音)は高くなり、コード自体は元のキーの高さに合わせるために上げた分だけ下げて行く事になります。この法則を覚えておくと色々と捗ること請け合い。
例えばC#m7と言うコードがあってさてどこにカポをはめようかと考えた場合、2フレットにカポをはめてBm7とするだけでなく、コード進行の他の音がどうなっているのかも考えるべきです。
C#m7が出てくる曲ならたいていの場合、AやBm、F#m7、Dなどがコード進行中に含まれている事が多いと思います。これは調の話になるのでさておいて、こう言ったコードが含まれる場合は2フレットにカポをはめると良い事が多いのです。
AはGとなりますし、BmはAmになります。F#m7もEm7、DはCと簡単なコードで代用できるからです。
カポは利用するにおいて、できるだけ簡単なコードに代用できるポジションを選択する方が良い場合が多いです。ただし、カポを利用したから全てのコードが簡単になるとは限りません。やはりFやBはできるだけ押さえられるようにしておく方がいいのは間違いありません。
カポはFやBをなるべく簡単に押さえるための道具ではないのです。
カポは、コードを簡単に弾けるようにするだけのものではなく、キーを変更することが可能となる道具です。
オリジナルキーがCである曲の場合、ちょっとキーが低いなと感じたらDにすることもできます。もちろんEでもFでもお好みでキーを変更できます。
ただし、より上手くなるためにはカポに頼らず、カポをはめていない状態で、キーをいろいろと変更できるようになるとより良いです。
そういった事ができるようになると自分で曲をアレンジする際にもとても有効です。ぜひ、より深く理解できるようにして下さい。