Hidekichi

Dank Material Shell 1.6.1がCachyOSについに来た

Fcitx5だと疑っていた時もありました、Fcitx5、DMS両開発チームに報告した後、テストして解決したであろうことの報告と新しいバージョンについて

これまでの流れ

以前から長時間のスリープから復帰後、文字入力ができないなどと当サイトのいくつかの記事で報告していました。

等が、該当の記事などです。こちらでも概要を書くと、

こういう感じの流れでした。

DMS v1.6でDMSチームに報告した問題の修正は適用されていたのですが、CachyOSの配布がすぐに行われず(おそらくv1.6が控えていたため)、私の確認では2026/9/12にパッケージの配布がありました。それ以前から適用はされていたはずなので、新規インストールスクリプトから導入していた場合は既に修正内容が適用されていたはずです。

テストをして状況を確認

パッケージ(dms-shell)が配布されてから、どのようにしてテストをしていたかと言うと、

  1. Waylandコンポジターでキーが時々効かなくなる場合のfcitx5の設定で書いたアドオンの設定はそのまま(Wayland寄り設定)
  2. ~/.config/hypr/hyprland.luaからGTKの環境変数、hl.env("GTK_IM_MODULE", "fcitx")を取り除き(コメントアウトして)テスト

上記の内容で、Hyprland環境から再ログインした後、普段するようなことをしてそのままスリープに入り、翌夜再度同じ事をしてテキストエディターで入力できるかを確認(→ 入力確認)。2でGTKの環境変数を取り除いたのは、本来その状態がfcitx5の推奨であり、その状態で以前は動作していたため不要であるだからです。今の所、テストで二日経過しても入力の問題は見当たらず、通常の入力状態であることから問題は解消したと考えられますまだ確認していませんが、同じように他のコンポジター(Niri、MangoWM等)でも問題は解消していると見られます。

私の環境では時間がかかる検証なので他のコンポジターでも問題が解消しているかは今の所未確定ですが、DMSのクリップボードのfixによって直っているので、ここから他のコンポジターでも問題ないだろうという見立てです。

Dank Material Shell v1.6(Marble Tabby)リリース

DMS 1.6 “Marble Tabby” Is Here(英語)

アップデートされたDMS v1.6系の内容はおおまかに以下のとおりです。もっと詳細は英語ですが公式のアップデートノート、あるいはドキュメントを参照してください

新デザインのダンクアイランド

v1.6での目玉機能は、Dank Island(ダンク・アイランド)と言うデザインバー(パネル)で、新しいスタイルとして、AppleのDynamic Islandにインスパイアされた Dank Island モードが追加されました。

island_expand_dark

中央にあるIslandとその両側にウィジェットで構成されるSatellite(サテライト)が配置されます。表示する内容によって形状がリアルタイムに変化・アニメーションします。また、シェル全体にバネベースの滑らかなアニメーションが導入されました。

DMSの設定画面からGUIで選択するだけで簡単にバーの表示を変更できるようになっています。上記画像で言うと、最初に開いたアイランドの上部にある歯車アイコンから「設定に入れます」。あるいはSUPER + ,でも開きます。

他の改善点

劇的なパフォーマンス&リソースの改善

目玉的なわかりやすい部分は、Dank Islandですが、素晴らしい更新としては劇的なパフォーマンス&リソースの改善です。

項目 改善内容・数値
メモリ消費(アイドル時) 約 19% 削減(マルチモニター環境で約 76 MB 軽量化)
IPC(プロセス間通信) 5.2倍〜8.9倍 高速化(キーバインドのレスポンスが劇的に向上)
スクリーンショット 最大 8.6倍 高速化(独自の高速PNG/JPEGエンコーダーを採用)
カラーピッカー(色選択) 3.9倍 高速化

元々が高速に動作するため、より軽量・高速になっても体感はしにくくはありますが、軽量で速くなることは負荷も減る事からマシンパワーが無いPCでも軽快に使用できるようになったとも言えます。例えばWindowsなどであればファイルエクスプローラーを開く際も、開く→ンーーパッと言う感じで開きます。しかしDMSでは(個人的なキーバインドですが)SUPER + Eを押した瞬間にもう開いてます(PC環境・設定にもよりけりかも知れません)。

上記の表からわかる事としては、通常たくさんのプラグインを導入するほど重くなって行くものです。それらはだいたいIPC通信のオーバーヘットが課題でした。それらIPCの処理を5.2倍高速化し、メモリ使用量も約19%軽減されたというような意味からも、「プラグインをたくさん導入しても、以前より遥かに軽快に、かつ低リソースで動作するようになった」と言って良いかと思います。

スクリーンショットツールの高度化

処理速度だけではなく、機能面も大幅に強化されました。

よく使用されるgrimのような定番ツールではCPUのシングルコアでスクリーンショットによる画像の処理をしていましたが、マルチコアをフルに活かすことで約5倍近く高速にキャプチャができるようになっています。キーバインドで独自に設定することも可能ですが、デフォルトでは設定されていません。これはおそらくプラグインを使用したり他のキャプチャーアプリとのキーバインドの競合等を避けるためのものだろうと思います。

DMSの設定の下の方にプラグインの項目があるのでそこで、プラグインディレクトリを作成しプラグインブラウザから好みのキャプチャープラグインを検索して使用するのが良いかと思います。例えばQuick Captureなど。おそらく問題となるのは保存ディレクトリがデフォルトでは英語環境で設定されていると思うのでpicture/ディレクトリなどが設定されているのではなかろうかと思います。それを画像/などと保存する場所を変更する必要がある所だけかと思います。

GTK3 ダイナミックテーマ対応

adw-gtk3 がインストールされている環境では、GTK3アプリがDMSの生成したカラーパレット(動的テーマ)に自動追従するようになりました。

以前、事前に必要なアプリ(例えばファイルマネージャーのThunar等)をインストールしておくのが大事だというようなことを書きましたが、新規インストールで試していないので確かなことは言えないまでも、おそらくは後からの導入でもそれらが正しく適用されるようになったのではなかろうかと思います。

必要に迫ったら以下からインストールはできます。(→ 公式ドキュメント)

# Arch
sudo pacman -S adw-gtk-theme

# Fedora
sudo dnf install adw-gtk3-theme

# NixOS
environment.systemPackages = [ pkgs.adw-gtk3 ];

ネットワーク機能の強化

Dank Desktopスイートのバージョン統合 & 独立グリーター

DMSは単なる「Waylandシェル」から、包括的なデスクトップスイート(Dank Desktop)へと進化しています。

プラグイン・テーマエコシステムの拡充

Themes browser_contrast_dark

plugin_browser_dark

左からテーマブラウザ、プラグインブラウザ。

念のためのインストールスクリプト

新規インストールする場合、こちらをターミナルに貼り付けて、いくつか項目を選択するとインストールすることができます。インストール後は一旦ログアウトして、セッションの切り替え(ログイン画面、Plasmaなら左下、GNOMEであれば右下の歯車アイコンなどから)をしてからログインしてください。

curl -fsSL https://install.danklinux.com | sh

設定は当サイトの様々な記事で書いていますが、おそらくMintやUbuntuをWindowsの代替に使うのは止めてFedoraにしとこうの下の方に書いてあるDMSの設定が今の所一番新しい設定ではないかと。CachyOSのものとは違いますが、設定する内容は同じです。バージョンがv1.5時点での説明なので項目などが変わっている場合があります。またフォントなどは自分の使い勝手の良いものに読み替えてください。その場合、そのフォントなどでの表示になるため記事の内容が必ずしも最適な設定であるとは限りません。

設定をもっと詳しく知りたい場合、英語ですが公式ドキュメントを参照してください。v1.6でのドキュメントになっています。

まとめ

DMS v1.5の間、長時間スリープからの復帰後、日本語入力のみならずキーボードからの入力が一部(またはほとんど)ができなくなってしまうというPC操作の根本に関わる部分の問題が、今回のDMS v1.6で解消されたのは喜ばしい限りです。これでより多くの人にオススメできる状態になり万事解決……と、素直に喜べない自分がいます。

英語圏の開発者やユーザーにとっては、IME(text-input-v3)や仮想キーボードのプロトコルが裏でデッドロックを起こして文字入力が死ぬという現象は、そもそも発想にすらない「特殊な環境の、縁遠いバグ」として処理されがちです。アルファベットの直接入力だけなら問題なく見えたり、再ログインや再起動で誤魔化せてしまったりする分、深刻度が伝わりにくいというWaylandエコシステム特有の悲しさがあります。

Waylandエコシステムとは「Wayland」を中心に構成される、ソフトウェア、ライブラリ、ツール、および開発者コミュニティ全体のつながりで単にWaylandという「規格(プロトコル)」だけでなく、それを動かし利用するための周辺技術すべてを含んだ生態系という意味です

DMSが「マルチディストロ・多言語対応」を(うた)う以上、入力ができなくなる不具合は非英語圏のユーザーにとって、単なる「些細なエッジケース」ではなく画面の非表示・操作不能に等しい最優先の欠陥であるべきだと考えます。かといって、英語圏の人がfcitx5を利用して日本語を入力することなどほぼ皆無……と、昨今では言えないまでも、稀な環境というのは理解しているからこそ歯がゆい問題です。

いずれにしても再起動で直ったり、fcitx5を使用しているユーザーで毎回シャットダウンをしている人からしてみると、長時間のスリープの復帰後の問題と言うのは些細な事だったかも知れません。しかし、解決方法がわからない間、同様の状態に陥れば「操作不能(あるいは一部操作可能)になってしまうのが正しい状態だとは言えない」と私は強く考えました。

当たり前の状態にまずなることがスタートで、そこから機能や便利さの評価ができると思うのです。

DMS v1.6はこれまで以上にメモリ使用量も減り、軽快になるアップデートが中心だったと感じましたが、それはどのアプリを使用しても損することがないアップデートです。WindowsやMacとは違う操作体系に最初は戸惑うかも知れませんが、日常使いにはかなり便利だと思います。場合によっては使い切れないとか、WindowsやMacみたいな操作のほうが良いと言う人がいるかも知れません。そこは心配する必要はありません。Linuxはログイン画面からデスクトップ環境を選ぶことができます。もちろんインストールされていないといけませんが、DMSの場合は「PlasmaとDMS」、「GNOMEとDMS」、あるいは「Plasma + GNOME + DMS」等と入れることができます。(※ 諸々の問題が出る可能性があるため、PlasmaとGNOMEは共存できたとしてもいずれか片方にしておくほうが良いです。)

PCと言うハードウェアを共有してデスクトップ環境を選択できることは、自分のやりたいことを使い分けるための最適な方法です。WindowsにもMacにもおそらく無い機能でしょう。

PlasmaもGNOMEもタイル表示はできません。なのでDMSを利用して更にHyprland、Niri、MangoWM、その他などで更に利用の幅を広げるのが良いかと思います。

ぜひ普段遣い最強のタイル型ウィンドウマネージャーの操作をこの機会に体験してみてください。

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