5399ドルは現在のレートで873,180円です

Ubuntu 26.04 LTS vs. Windows 11 vs. CachyOS Performance On A $5399 Laptop|Phoronix
Phoronixが実施した、ハイエンド・ゲーミングノートPC「Razer Blade 18」における Windows 11 vs. Ubuntu 26.04 LTS vs. CachyOS の詳細なベンチマークテスト結果が公開されています。
スクリーンショットからスペックを考察

このスクリーンショットは、掲載されていたターミナルの情報です。
| パーツ | モデル |
|---|---|
| CPU | Intel Core Ultra 9 290HX Plus (8+16) |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5090 Max-Q / Mobile |
| RAM | 32GB |
| Display | AU Optronics(AUO)製 16:10 4K@240Hz 18インチ・ノングレア液晶パネル |
| Disk | 2TB SSD |
なぜこの構成で約90万円もするのか
- Gizmodoの記事によると、最新のRazer Blade 18で「RTX 5090 + 32GBメモリ + 1TB SSD」を選択したベースオプションが4,900ドル(約77万円)とされていました。
- Phoronixの検証機は、SSDが1TBではなく2TB(1.86 TiB)にアップグレードされています。また、ディスプレイに最高峰の「4K/240Hz」パネルが指定されているパッケージであるため、これが上乗せ分となり、最終的な価格が$5,399(約87万円)に達していると考えられます。
ベンチマークの内容などをかいつまんで解説
CachyOSは、Arch Linuxをベースに、CPUマイクロアーキテクチャに最適化されたビルド(x86-64-v3やv4)や最適化カーネル(BOREスケジューラなど)を標準で提供する、パフォーマンス特化型のディストリビューションです。
現在手に入る限界レベルの超高性能ハードウェアにおいてLinuxが勝利したということは、「Linuxは最新ハードウェアの真のポテンシャルを引き出す能力がある」という強力な証明になったのではないでしょうか?主にCachyOSのパフォーマンスの高さの証明ともなったと言えるのかも。
これらを踏まえた主な分析結果は以下の通りです。
全体的な傾向 - Linux(特にCachyOS)の圧倒的な優位性
全8ページにわたる多角的なテスト(CPU、グラフィックス、エンコード、コンパイル、ゲームなど)の総合結果として、多くのワークロードでLinuxがWindows 11を上回るパフォーマンスを発揮しました。特に最適化されたCachyOSが最速を記録する場面が目立ちました。
開発・クリエイター向けワークロード(コンパイル、レンダリング、エンコード)
コードコンパイル(GCC, Clangなど)
LinuxがWindows 11を大きくリードしています。CachyOSは、コンパイル段階での最適化フラグや効率的なI/O処理により、Ubuntuよりもさらに高速にビルドを完了させました。
プログラミングで言えば、「スマホアプリのコードを1行変えて、正しく動くか確認する」これの確認のために本体を再起動するとすると、再起動に数分かかるのと秒で終わるだと、速い方がすぐに確認できます。そういうことだと理解してもらえればよいかと思います。
レンダリング(Blenderなど)
CPUレンダリングにおいて、Linux(UbuntuおよびCachyOS)はWindows 11に対して一貫して優位に立ちました。
単に性能が高いから速いとも言えますが、この項目はモデリングデータとテクスチャやライティングと言った質感、肌感、光や影の計算の速さです。
レンダリングは、CPUのすべてのコア・スレッド(今回の構成なら24コア)や、GPUの計算ユニットを限界の100%まで使い切る超ヘビーな共同作業です。
- 効率が悪いOSでは「この光の反射計算はコアAに、影の計算はコアBに…」という割り振りがワンテンポ遅れたり、メモリからデータを取ってくる効率が悪いと、どれだけ超高性能なRTX 5090を積んでいても、パーツが「データの到着待ち」で一瞬サボる時間が生まれてしまいます。
- 最適化されたOSでは、CPUやメモリに対して無駄のない最短ルート(x86-64-v4の最適化など)でデータを送り込み、全コアを1ミリの隙もなくフル回転させます。だからこそ、同じパーツを使っていてもLinux/CachyOSの方が数%〜十数%も早くレンダリングが終わるという結果になります。
これもクリエーターにとっては、ちょっとした変更をしただけで再計算に時間がかかるのは問題です。少しでも速い方が良いに決まっています。
ビデオ/オーディオエンコード(SVT-AV1, DaVinci Resolve等に該当する処理)
最新のAV1エンコーダーなどのテストでも、LinuxのCPUスケジューリングとスレッド管理の効率の良さが現れ、Windows 11よりも短い時間で処理を終えています。
このテストが何故にあるのかは、フルHDぐらいであればHDDからデータを読み取ってもスムーズに動画が見れるように問題とはなりにくいですが、これがより高解像度の4KなどではフルHDの4倍のデータ量になります。更に4Kでは色の情報も増え、表示するまでに時間がかかることがあります。
エンコード中にCPUやGPUが80℃〜90℃の高温に達する状態が「30分続く」のと、最適化によって「15分で済む」のでは、パーツが熱に晒される時間が半分になります。
ゲーム性能(Steam / Proton経由を含む)
かつて「ゲームならWindows」と言われていましたが、今回のハイエンド環境におけるベンチマークはその常識を覆しつつあります。
高い競争力
Proton(WINE互換レイヤー)を介したWindows向けゲームの実行であっても、Linux(特にCachyOS)はWindows 11と同等、あるいはタイトルによってはWindowsを上回るフレームレート(FPS)を記録しました。
FPS(Frame Per Second=1秒間あたりの描画コマ数)が高いということは、ゲームをプレイする上で単に画面がヌルヌル動くとか操作性が高い、あるいは勝敗に直結すると言った事が真っ先に思い浮かびますが、
- 実力ギリギリで60FPSを出しているPCでは、ゲーム内の街の中で爆発が起きたり、大人数の敵が一度に画面に現れたりして一瞬だけ負荷が高くなった時、処理が追いつかずに30FPSなどにガクッと落ち込みます(これを「フレームドロップ」や「スタッター」と呼びます)。ユーザーはこれを「カクついた、重い」と感じます。
- 普段は200FPS出せる余裕があるPCでは、同じように重いシーンが来て負荷が倍増したとしても、余裕があるため「200FPSから140FPSに落ちるだけ」で踏みとどまります。ユーザーから見れば、画面はカクつくことなく最初から最後まで完全に滑らかなままです。
つまり、「FPSの高さは、突発的な重い負荷に対するクッション(防御力)になる」と言えます。操作の遅延(レイテンシ)も劇的に減ります。
CachyOSの強み
CachyOSは、ゲーム中の遅延(レイテンシ)を抑えるカーネルチューニングや、CPU割り当ての最適化が施されているため、UbuntuやWindows 11よりもゲームにおいてわずかに高い平均FPSや、より安定した最小FPS(1% low)を示す傾向がありました。
Ubuntu 26.04 LTS と CachyOS の比較
同じLinuxカーネルであっても、ディストリビューションごとの最適化の違いが明確に出ました。
UbuntuはLinuxを動かしているだけのWindowsチックな部分があり、何でも最初からできるようになっているということはそれだけ無駄なものが裏で動いているという事とも言えます。
最適化の恩恵
CachyOSはデフォルトで「x86-64-v3/v4」命令セット(AVX-512などを含む現代のCPU機能)をフルに活用するようにコンパイルされたパッケージを提供しています。これにより、標準的な汎用パッケージを使用するUbuntu 26.04 LTSに対し、CPUバウンドなテストで数%〜10%以上の性能向上を見せました。
CPUバウンドなテスト
これは処理のスピードが、100% CPUの性能(計算速度)だけで決まる状態の事をいいます。PCが行う様々な処理の中で、ストレージ(SSD)の読み込みやグラフィックボード(GPU)といった他のパーツは全く足を引っ張っておらず、純粋に「CPUの計算がどれだけ速く終わるか」だけが全体のボトルネック(壁)になっている状態のテストを指します。
Windows 11が優位だった領域
Windows 11が勝利を収めたのは、以下のような一部の領域に限定されていました。
特定のベンチマーク/独自API
Windowsに高度に最適化された一部のグラフィックスデモや、独自のドライバ連携が極めて密な特定のアプリケーション。
初期状態の電力管理(バッテリー効率)
(※性能ベンチマークが主ですが)最大パフォーマンスを引き出す場面以外での、アイドル時の消費電力やファン制御などの細かなハードウェア統合においては、依然としてメーカー公式サポートが手厚いWindows 11に一日の長があります。
結論
「Razer Blade 18」のようなモンスターマシンにおいて、LinuxはそのハードウェアポテンシャルをWindows 11以上、あるいは極限まで引き出すことができる。
CachyOSのような「パフォーマンス特化型Linux」は、単なるベンチマーク上の自己満足ではなく、ゲーム、開発、クリエイティブタスクにおいて実用的なレベルでUbuntuやWindows 11に対する優位性(実質的な速度向上)を提供している。
開発者やゲーマーにとって、最新のハイエンドノートPCでLinuxを選択することは、現在では妥協ではなく「パフォーマンスを最大化するための賢い選択肢」になり得ている。
こういった事が言えると思います。もっとローエンドのPCであっても傾向自体は変わりません。むしろローエンドPCこそこの結果は重大な意味を持ちます。
ハイエンドPCでは、ゲームが200FPS → 220FPSになったとして、いずれも超快適ですが、ローエンドPCであればカクカクして使い物にならなかった27FPSがギリギリプレイできる30FPSになったとか、重くて使い物にならなかったアプリが実用レベルになるというのは意味が違います。
追加情報として
CachyOSを起動したら最初に表示されるCachyOS Helloの中にWinBoatというアプリのボタンがあります。まだβ版だったと思うので何でもかんでもというわけには行きませんが、これはProton(あるいはWine)などのWindowsのシステムを模倣して動かしているものに対して、WinBoatは「本物のWindows 11(VM/仮想マシン)」をバックグラウンド(Docker+KVM)で丸ごと動かしています。
同じようなことはVirtualBoxなどでも可能でしたが、WinBoatが画期的なのはその「シームレスな統合感」と「圧倒的な導入の手軽さ」です。
WinBoatは裏で本物のWindows 11仮想マシンを動かすため、マシンのCPUパワーとメモリを相応に消費します(動作にKVMによるハードウェア仮想化支援を使用するため)。メモリが8GBや16GBの一般的なPCだと動作が重くなりがちです。
CachyOSはIntelで言う4世代以降をターゲットにしているため、その頃であればノートPCでも(一部を除き)16GBは当然のように搭載できると思います。ゲームをしたいと考えるユーザーならば最大搭載メモリ32GB以上のPCを使用しているかもしれません。
メモリ管理やシステムの軽さから16GB搭載しているとした時に、物理的には同じサイズだとしても、Windowsであれば16GB以下の使用感ですが、それと比較して1.5倍ぐらい、つまり24GBぐらいをのせてるのと同じぐらいの使用感でLinuxは使えます。それだけ無駄なものがないと言うことです。
私はCachyOSで12GB(4GB+8GB)で使用していますが、FirefoxとHeliumを動かして、他で諸々のアプリも使用していてもメモリが無いということはありません。KdenLiveも問題なく動きます。これはもうちょっと(16GBぐらい)あった方が良いかなと思う時はありますが、メモリ不足になることはありません((本格的な編集はしていないので確かな情報ではありませんが、カット編集程度であれば問題ありません))。
まとめ
だからといって、CachyOSが万人向けではないとも言えます。事前に知っておくべきことが多く、慣れるまでが大変だからです。そのため別の記事では、まずは「Fedora」でLinuxの標準的な仕組みを学び、できるだけ学習コストを抑えながらArch系へ移行してその恩恵を最大に受けるロードマップを提案しました。
Windowsや、それに寄せているUbuntu、Linux Mintは過保護すぎます。なんでもシステムで設定とかGUIでやらせようとするあまり、ちょっとした変更にもGUIアプリの起動を待たねばならない無駄があり、結果としてユーザーを「ターミナルでサクッと設定変更する便利さ」から遠ざけてしまっています。
例えるなら、VS Codeの設定を「GUI画面」で行うか、settings.jsonを直接編集するかのような違いです。settings.jsonはプレーンテキストですから、VS Codeを起動せずとも、より高速に開く他のエディタやターミナルから一瞬で編集できます。
しかし、多くの人はGUIを選びたがります。WindowsやUbuntuに慣れきった人は「GUIでしか操作できない体」になってしまっているのです。これは、車のAT(オートマ)とMT(マニュアル)の違いによく似ています。
MT車でのストップ&ゴーが続く渋滞や長距離走行は確かに面倒ですが、普通に走っている分にはATと大して変わりません。
MTは難しいと思われがちですが、慣れてしまえばATもMTも同じです。もちろんATの方が楽ですが、それはMTを知っているからこそ実感できるものです。
「今どきMTが選ばれないのが答えだ」という意見もあるでしょう。しかし、過剰な便利さは人間の注意力を奪います。シートベルトの義務化や自動ブレーキで死亡事故は減ったかもしれませんが、実は交通事故自体はMTよりATの方が1.5〜2倍近く高いとも言われています。
これはPCの世界でも全く同じです。
便利さ(GUI/AT)は効率を上げますが、同時に人間の「仕組みを理解しようとする力」を奪ってしまうのです。
フロントガラスが凍った時、エタノール(アルコール、濃度30~50%程度にしたら効果があります)を吹きかけると、ものの1分程度で出かけられるようになります。そういった商品が出ていて費用と手間を掛ければ入手できるわけですが、仕組みを知っていればいざという時に助かることもあるわけです。
ブラックボックス化、人任せ(GUI)であればあるほど、簡単に解決できることまでもお金と人任せにするのは得策ではありません。できないことを『知る必要がない』と割り切ってしまうよりも、できることに目を向けて胸を張る方が、ずっと豊かな毎日を過ごせる気がします。